PCを高速化!M.2 SSDの取り付け方とメリット

今回は、高速な転送速度でストレージとしてベストな選択肢となる「M.2 SSD」について、取り付け方法や搭載することによるメリットを分かりやすくご紹介していきます。

以前記事にしたRyzen 2700X自作ゲーミングPCを使って出来る限り分かりやすく解説していこうと思うので、M.2 SSDを取り付けてWindowsの起動やゲームのロード時間を短縮したい……! という人はぜひ参考に。

ちなみに、今回使用するM.2 SSDはSAMSUNG 970EVO(250GB)です。

M.2 SSDをPCに取り付ける方法とHowTo。メリットは転送速度の速さ

M.2とは、コンピュータの内部拡張カードのフォームファクタと接続端子について定められた規格のことで、SSDなど、データを読み書きするための記憶デバイスの1つ。

M.2 SSDって、mSATAの後継規格として登場したんですよね。M.2 SSDの転送速度は最大32Gbpsとなり、性能が頭打ちなSATA3(現在主流の2.5インチSSD。転送速度は最大6Gbps)と違ってこれからどんどん進化・高速化していく可能性を秘めています。

M.2はSATA3とPCI Expressの両方に対応しているというのも覚えておきたいポイント。理論上の最大転送速度が出せるのはPCI Express接続時なので、購入するときは「NVMe」と記載されているものを購入すればまず間違いありません。

※M.2 SSDは、SATA3とPCI Expressに対応しているものの、インターフェースがSATA3接続のものは転送速度が2.5インチSSDと同じため、搭載するメリットがあまりありません。スペースは節約できますけどね。M.2 SSDは、PCI Express接続かつNVMeのものがおすすめです。

M.2 SSDの長さで変わる規格

そうそう、M.2 SSDって長さによって規格が変わるんですよ。マザーボードによって取り付けられる長さが変わるため、しっかり確認しておきましょう。

M.2 SSDの主流な規格は以下の通りなので、ぜひ目を通しておいてもらえれば。※一部のM.2規格です。実際はもっと多いですが、一般的ではないので割愛しますね。

type22110長さ:110mm
企業向け
データ保護機能を搭載することも
type2280長さ:80mm
最も主流なM.2 SSD
多くのマザーボードで対応
type2260長さ:60mm
あまり見かけません

M.2のメリットは高速な転送速度

M.2のメリットはなんといっても最大32Gbpsの速い転送速度。最近のM.2 SSDで言えば、Samsung 970 EVO Plusなんかの転送速度は35Gbpsです。めちゃ速い。

M.2 SSDのメリットについて、ぱぱっとまとめておくと……

  • Windowsの起動やゲームのロード時間が速くなります。
  • M.2はマザーボードに直接取り付けるため、シャドウベイを使わずスペースを節約できます。
  • 取り付けが超簡単。
  • 動作音が無いので静か。

大きなメリットは上記の通りですが、逆に、M.2のデメリットは発熱するということ。

ヒートシンクを取り付けるなど、冷却についても考慮する必要があります。マザーボードによっては、M.2を使用するとSATA3ポートが使えなくなることもあるため、購入時はM.2とSATA3ポートの組み合わせについても確認しておかなきゃですよ。

M.2 SSDと2.5インチ SSD、HDDの読み込み速度、書き込み速度を比較

さてさて、それじゃこのあたりでM.2 SSDは、どれくらい速いのか? が一目で分かる転送速度の比較もご紹介しておきますね。

M.2 SSD、2.5インチSSD、HDDの読み込み速度/書き込み速度の目安は以下の通り。Readが読み込み、Writeが書き込みです。

M.2(NVMe)の読み込み/書き込み速度

2.5インチ SSD(SATA3)の読み込み/書き込み速度

HDDの読み込み/書き込み速度

すごくないですか? M.2 SSDは、2.5インチSSD、HDDと比べて圧倒的な転送速度を誇ります。250GBで見た場合、M.2 SSDと2.5インチ SSDの価格差は5,000前後になりますが、それだけの価値がM.2 SSDにはあると思ってもらえれば。

M.2 SSDの取り付け方

それでは、ここからはM.2 SSDの取り付け方についてご紹介していきますね。使用するPCは以前記事にしたRyzen 2700Xの自作PCで、マザーボードはAORUS X470 GAMING 5 WIFI

いくつかのステップに分けて解説していくので、M.2にしたいけど、取り付けが不安かも……という人は参考にしてもらえれば! M.2の取り付けは精密ドライバーが1つあればOKです。

①干渉するパーツを外す

M.2 SSDを取り付ける前に、まずは干渉するパーツを取り外しておきましょう。僕の自作PCであればグラボが邪魔になるので外す、といった感じ。マザーボードによってはそのままでOKなこともありますが、多くの人はグラボを取り外した方が作業しやすいと思います。

作業を始める前に、PCの電源を確実に切っておこう。

②M.2のヒートシンクを取り外す

M.2 スロット

僕が使っているマザーボードAORUS X470 GAMING 5 WIFIにはあらかじめM.2 SSD用のヒートシンクが取り付けられているので、こちらも外します。

970evo m.2 3

ヒートシンクは、ネジで固定されているので外しておきましょう。小さいので、無くさないように要注意です。

③M.2 SSDを取り付ける

970evo m.2 4

ヒートシンクを取り外したら、M.2 SSDの固定用ネジの位置を変えます。

マザーボードにより微妙に異なりますが、大抵はM.2の規格に合わせた表記があるので迷うことは無いはず。固定ネジはマザーボードに付属していると思います。

今回使用するのはSAMSUNG 970 EVO(Type2280)なので、「80」と表記されたネジ穴に取り付けました。

970evo m.2 5

M.2 SSDの “向き" に間違いがないか確認し、斜め上からM.2を差し込んじゃいましょう。この時点でM.2は浮いた状態になりますが、それで正常です。ばっちりです。

M.2 SSDを指で押さえて、マザーボードに付属するネジで固定すれば、M.2 SSDの取り付けは完了! あとは、ヒートシンクを取り付けて終わりです。

④ヒートシンクを取り付ける

M.2 SSDの取り付けが完了したら、次はヒートシンクの取り付け。最近のマザーボードはM.2用ヒートシンクが付属する場合が多いですが、無い場合は必ず購入しましょう。

(Aorus Gaming5に付属するヒートシンクにはテープが張られているので外しておくと良きです)

ヒートシンク無しでM.2 SSDを使用すると温度が上がりすぎてサーマルスロットリングが起こり、性能が低下するほか、最悪、壊れる可能性もあるので要注意ですよ。M.2 SSDを使用するなら、ヒートシンクは必須です。

ヒートシンクの取り付けと言っても、、ヒートシンク用のネジで固定してやるだけ。これで、M.2 SSDの取り付けはすべて完了です! ね、簡単じゃないですか?

M.2 SSDのストレージは、Windowsのインストールや、ゲーム用として使うのがおすすめです。

Windowsのクローンを作成して引っ越し作業を行う(システム用で使う場合)

M.2をゲーム用だったり、編集ソフト用として使うならそのままフォーマットすれば使えますが、今回はシステム用としてM.2 SSDを導入したため、Windowsのクローンを作成するまでをついにで解説しておきますね。

僕はEaseUS Todo Backupを使ってますが、使いやすくておすすめですよ。

※Update 2020/8/28, EaseUS Todo Backupは、これまで無料でWindows 10のクローンを作成できたのですが、アップデートにより有料版でしか利用できなくなりました。Windows 10の標準機能を使ってクローンを作成する方法については以下の記事でご紹介しているので、気になる人はこちらもぜひ。

Windows 10のクローンを作成する方法

M.2 SSDにWindowsのクローンを作成する

Windowsのコピーは「システムクローン」から。

それじゃ、M.2 SSDにWindowsのクローンを作成する方法についてぱぱっとご紹介していきます。

EaseUS Todo Backupを起動したら、左下の「システムクローン」をクリックしましょう。(EaseUS Todo Backupは無料ソフトですが、使うにはメールアドレスの登録が必要です。)

引っ越し元(ソース)と引っ越し先(ターゲット)を選択し、間違いがないか確認したら、「高度なオプション」をクリックして「SSDに最適化」へチェックを入れましょう。

最後に「実行」をクリックするとシステムクローンの作成が開始されるので、あとは終わるまで待つだけ!

システムクローンが正常に完了すれば、M.2には丸ごとWindowsを起動するための情報がコピーされているので、元々システム用で使っていたHDDやSSDはフォーマットしてゲーム用にしたり、バックアップ用にしたり、活用方法はあなた次第。

この方法なら丸ごとWindowsをコピーしてくれるので、クローンの作製が完了したらそのままWindowsが起動できるようになりますよ。

※元々使用していたSSD/HDDのボリュームラベルは自由に決めてしまってOKですが、クローンを作成したM.2のボリュームラベルは絶対に変更しないこと。パスが変わってしまうため、起動できなるソフトが出てきちゃいます。これ、ずーっと昔に僕もやっちゃったことがあるんですけど、めちゃ面倒なことになるんですよね……。

おすすめのM.2 SSDは「SAMSUNG 970 EVO」か「Intel 760p」

2019年現在、SAMSUNGのM.2 SSD 970 EVOが価格・性能から最もおすすめできるM.2 SSDかなぁ、と。価格も安くなりましたしね。

最近は、読み込み/書き込みが3,000MB/sを超えるSamsung 970 EVO Plusが登場したので、より高性能を求める人はこちらも選択肢に入れるといいかも、です。現状は970 EVO Plusが最強のM.2 SSDですが、コスパで選ぶなら、Intel 760pもおすすめですよ。

M.2 SSDはWindowsの起動、ゲームのロード時間短縮、ファイルの読み込み/書き込み時間短縮など、PCへ採用することで得られるメリットが非常に多いストレージデバイス。

※M.2のランダムアクセス性能はSSDとそこまで変わりません。Windowsの起動など、体感はSSDと大差ないため、M.2は大容量ファイルの読み込み/書き込みで効果を発揮すると思ってOKです。

最近のマザーボードはほぼM.2に対応しているので、より高速に、快適にPCを使いたい!という人はM.2の採用を検討してみましょう。

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Posted by Yusuke Miyamoto