自作PC向けのケースは大小様々なものから搭載するUSBの数、拡張性、デザインの異なるものが数えきれないほど販売されていますが、今回レビューをお届けするCoolerMasterのATXケース「CoolerMaster MasterBox Q500L」は”コンパクトさ”に全振りしたATXケース。
MicroATX、Mini-ITXだけじゃなくてATXのマザーボードに対応するPCケースってところがキモなのですが、小さい、使いやすい、かっこいいの3拍子が揃ったケースになっていまして。
もう半年以上使っていますが、良いところ、悪いところを含めてレビューをお届けしていこうと思うのでぜひ参考にどうぞ。
僕はwebショップで最安だった楽天ビックで購入しましたが、6,710円という買いやすい価格も魅力的。考えに考え抜かれた設計も見事です。
超超小型ATXケース「CoolerMaster MasterBox Q500L」をレビュー
それでは、早速CoolerMasterのATXケース「CoolerMaster MasterBox Q500L」のレビューです。パッケージのサイズは普通のPCケースと比べてかなり小さめ。
CoolerMaster MasterBox Q500Lの覚えておきたいトピックとしては……
- ATXマザーボードが入るのに超コンパクトなサイズ。
- 横置き対応。
- 配置を変えられるI/Oパネル。
- 4面パンチング加工。(穴だらけ)
- 電源ユニットの位置をマザーボードのサイズに合わせて変えられる。
- マグネット装着式のダストフィルター。
- スモークアクリルパネルとかっこいいデザイン。
- サイズに見合わぬ拡張性。
こんなところ。とにかく”コンパクトさ”を追求し、コストを抑えつつ無駄を省いた設計が素敵なPCケースになっていまして。まずはCoolerMaster MasterBox Q500Lのデザインを簡単にチェックしていきましょう。
MasterBox Q500Lのデザインはこんな感じで、フロントパネルのダストフィルターは簡単に取り外しできるマグネット式となっており、幾何学的なデザインがクールでスタイリッシュ。
CoolerMaster MasterBox Q500Lのフロントとリア。
フロントパネルと天板のダストフィルターを取り外すと、4面にパンチング加工が施された筐体がお目見え。
底面まで徹底して穴だらけなパンチング加工により冷却ファンを柔軟にレイアウトできるというメリットがありますが……冷却性能は安定したエアフローが得られる密閉型のほうが優れているかなぁと。
ネジ止めで固定するアクリルのサイドパネルはスモーク仕様。
アクリルのサイドパネルを取り外すと内部にアクセスすることができます。
38.6 x 23 x 38.1cmとATXマザーボード対応ながら非常にコンパクトなサイズになっているため、内部のスペースは少し狭く感じるかもしれません。
フロントパネル上部にはCoolerMasterのロゴ。
背面のカバーパネルはこんな感じ。
背面パネルの四隅にはネジにもなっているゴム足。背面パネルにアクセスする際はこのゴム足を外すことで背面パネルを外すことができます。
背面パネルをパカッと。詳細は後述しますが、裏配線のスペースは27~30mmのクリアランスが設けられているため作業のしにくさを感じることはないはずです。
作業しにくいのはどちらかというと……内部のほう。ATXのマザーボードに対応しながらもこのサイズ感を実現しているので仕方ないかもですね。これだけ作業できる設計が見事すぎる。
ちなみに、CoolerMaster MasterBox Q500Lはエアフローを気にする必要なく横置きで置けるというのもメリットの1つです。
ここからはCoolerMaster MasterBox Q500Lの構造にフォーカスを当ててチェックしていきましょう。
CoolerMaster MasterBox Q500Lの内部構造
お次はCoolerMaster MasterBox Q500Lの内部構造についてですが、まず特徴的なのはこの”4面パンチング加工”。
フロント、リア、ボトム、トップにパンチング加工が施されており、冷却ファンの柔軟なレイアウトが可能になっています。
コンパクトなので冷却性能が気になる人もいるかもですが、無数の穴があるので空気の通りはむしろ良すぎるくらい。熱がケースにこもるようなことはありません。
はじめから付いているリアの120mm冷却ファン。
サイドの好きな場所(3か所)に配置を変更できるI/Oパネル。
背面には2.5インチドライブと3.5インチドライブを搭載できるスペースが用意されており、例えば、2.5インチSSDなら合計4つ。3.5インチのHDDであれば合計2つ。
2.5インチSSD2つと3.5インチHDDを1つ、といった感じでストレージを搭載することができます。
さらに、ドライブベイの取り付けスロットは取り外しも可能です。
拡張スロットはこんな感じ。
ねじ止めでカバーで固定されているほか、
スロットのパネルカバーもネジ止めされており、何度でも取り付け&取り外しができるタイプになっています。
電源ユニットはブラケットに取り付け
次に電源ユニットの取り付けについてですが、CoolerMaster MasterBox Q500Lは電源コネクタが本体に備え付けられているということも覚えておきたいトピック。
電源ユニットに専用のブラケットを取り付け、本体内部から出ている電源ケーブルを電源ユニットと接続します。(電源ユニットは180mmまで対応)
電源ユニットの位置は上下に調整ができるようになっており、水冷ラジエーターやグラボ用のスペースが確保しやすいというのは大きなメリットですね。
ただし、一般的なボトムの位置に電源ユニットを搭載したい場合は”mini-ITXのマザーボード”を使用する必要があります。
ボディが穴だらけで電源ユニット用のネジ止め穴を見分けにくかったというのはマイナスポイントかも。
組み立て後はどんな感じ?
ここからは、CoolerMaster MasterBox Q500Lを実際に組み立ててみるとどうなるのか? についてさくっとお話しておきますね。
PCの構成はIntel Core i5 10400とGTX 1650の組み合わせ。マザーボードがASRock H470 PG4、CPUクーラーは虎徹MKⅡ、電源ユニットにはシルバーストーンの500W ATX電源ユニットを使用しています。
裏配線用のパネルを開けるとこんな感じ。僕は3.5インチ HDDを1つ、2.5インチ SSDを搭載していますが、適度な位置に配線用のスルーホールが設けられており、ケーブルマネジメントはかなりしやすいほうでした。27~30mmと広めのクリアランスがGood。
内部に目を向けてみると、GTX 1650は比較的小さいグラボなので電源ユニット直下のスペースはがら空き。
グラボ直下も割とスペースが開いているため、マザーボードとケーブルの配線に戸惑うこともないはずです。
MasterBox Q500Lはコンパクトなサイズなので作業のしやすさは諦めていましたが、実際に触ってみるとグラボと電源ユニットの直下は余裕の作業スペースがあると思って大丈夫かもしれません。
ただし……CPU用電源の接続は作業しずらく、CPUクーラーが虎徹MKⅡだと手がギリ入るかなぁくらいにカツカツ。
水冷用ラジエータはトップに120mm/140mmのものを搭載できますが、その場合はさらにスペースに余裕がなくなると思っておきましょう。
ちなみに、I/Oパネルはこんな感じで取り外すことができまして。フロント、トップ、ボトムの3か所であれば自分の好みで配置を変更可能です。
僕はフロント側に取り付けておきました。
※I/Oパネルは、上からUSB 3.0 ×2、電源ボタン、3.5mm マイクジャック ×1、3.5mmイヤフォンジャック ×1を搭載。
上面にRGB LEDで光るファン「DEEPCOOL MF120GT」を搭載するとこんな感じ。MasterBox Q500Lにはリア用の120mmファンが1つしか付属しないため、別で冷却ファンを購入しておくのもおすすめです。
▶DEEPCOOLのケースファン「MF120GT」をレビュー!煌めく”X”が渋い | iy
MasterBox Q500Lと一般的なサイズのATXケースとサイズを比較
せっかくですし、CoolerMasterのコンパクトなATXケース「MasterBox Q500L」がどれだけ小さいのか、一般的なサイズのATXケース「Thermaltake Versa H26」とサイズ比較しておきましょう。
2つのPCケースを並べてみるとこんな感じで。驚くほどのサイズ差。
サイドから眺めてみても、サイズの違いは一目瞭然ですね。親と子かな? ってくらいにMasterBox Q500Lが圧倒的にコンパクトで小さいことが伝わるかと思います。
違う角度から見てみるとこんな感じ。
デスクにPCを置いている場合は特にこのサイズの違いの恩恵が受けられると思うので、そろそろPCケース新しくしたいなぁって考えていた人はぜひ。
サイズが小さくて、コンパクトで、デザインもよくて、しかも6,710円と買いやすい価格なので、きっと満足できるはずです。
MasterBox Q500Lのスペックと仕様
製品名/型番 | MasterBox Q500L MCB-Q500L-KANN-S00 |
カラー | BLACK |
サイズ | 38.6 x 23 x 38.1 cm 3.83 Kg |
素材 | スティールとプラスチック |
サイドパネル | アクリル |
対応マザーボード | ATX,Micro ATX,Mini ITX |
拡張スロット | 7 |
5.25″ドライブベイ | 0 |
2.5″/3.5″ドライブベイ | 2(1つのHDDまたは2つのSSD) |
I/Oパネル | USB 3.0 ×2 3.5mmイヤフォンジャック×1 3.5mmマイクジャック×1 |
付属ケースファン(リア) | 120mm ×1 |
対応ケースファン | トップ:120/140mm×2 リア:120mm×1 ボトム:120mm×2 |
対応水冷ラジエーター | トップ:120/240mm(マザーボードの高さ最大35mm) リア:120mm |
クリアランス | CPUクーラー:160mm 電源ユニット:180mm グラボ:360mm |
ケーブル配線機構 | 27mm-30mm |
対応電源ユニット | ATX |
価格(Amazon) | 6,710円 |
CoolerMasterのミドルPCケース「CoolerMaster MasterBox Q500L」のスペック・仕様については上記の通り。
PCに必要な機能は概ね搭載しており、拡張性も十分ですが、DVDドライブなんかは搭載することができないほか、PCケースの新調やこれから自作PCを組む場合はCPUクーラーや電源ユニット、グラボのサイズが搭載可能かどうかの確認もお忘れなく。
MasterBox Q500LはPCの拡張性を維持しつつ、デスク周りをすっきりしたい人におすすめなATXケース
デザインやら、内部機構やらを確認しつつのレビューだったので、少々長くなってしまいましたが……最後に「CoolerMaster MasterBox Q500L」の僕のレビューと評価をまとめて締めましょう。
このPCケースの大きなトピックは、なんといってもATXのマザーボードが入っているのに、小さくてコンパクト。しかもかっこいいってところ。
省スペース化を求めていた僕にとって大大大満足なPCケースでした。
メリット
- ATXマザーボードを搭載できるのに圧倒的に小型。コンパクト。軽い。
- 場所を変えられるI/Oパネル。
- サイズの割りに意外といけるスペース。
- 十分すぎる拡張性。
- 裏配線のしやすさ。
- クールでスタイリッシュなデザイン。
- Amazonで6,710円という買いやすい価格!
デメリット
- 筐体が穴だらけなので”静穏性”は皆無。最適なエアフローの実現も難しいかも。(十分冷えますが)
- ネジ穴が分かりにくく、少しだけ電源ユニットの取り付けに苦戦した。
レビュー&評価まとめ
デザイン | ★★★★★ |
拡張性 | ★★★★☆ |
作業のしやすさ | ★★★★☆ |
静穏性 | ★☆☆☆☆ |
コンパクトさ | ★★★★★+ |
価格(コスパ) | ★★★★★ |
CoolerMaster MasterBox Q500Lの僕のレビューと評価をまとめるとこんな感じ。その小さなボディはもちろん、デザインも非常にお気に入りですが、デメリットを強いて挙げるとするなら……穴だらけ故の静穏性のなさかなぁと。
当然ですが”遮音性”は皆無なので、ファンがぶんぶん回っている時は、ぶいぶい音が聞こえます。
とはいえ、音が気にならないのであれば、これほど小さくて、クールで、アクセスしやすくて、いじりやすくて、買いやすいATX対応のPCケースは無いのでは? と。
I/Oパネルを移動して自分の使いやすい位置に調整できるのも利便性が高くてGoodです。
もし、コンパクトなATX対応PCケースを探しているなら「CoolerMaster MasterBox Q500L」もぜひ選択肢に入れてあげてください。きっと満足できるはずですよ、ブラザー。
それにしても、もっとこんな感じのATX対応コンパクトPCケースが増えたらな……。一度体験するともう普通のPCケースが使えなくなるほどです。