自作PCを組む時に意外と悩むのが”PCケース”だと思うんですけど、自作PCのケースって性能やデザイン、価格までピンキリで。安いケースであれば数千円、高いケースであれば数万円と良いお値段になることもあるのですが、今回は低予算で組む自作PCの救世主「Thermaltake Versa H26」について。
Amazonでの販売価格は4,000円程度と非常に買いやすい価格ながらクリアアクリルのサイドパネルを搭載し、120mmのケースファン2基を標準搭載。裏配線を考慮した構造になっているので配線も楽々。取り外し可能なダストフィルターも天板と底面に装備……と贅沢な仕様が特徴のThermaltake製PCケースです。
i5 10400+GTX 1650でサブPCをアップグレードするにあたり、PCケースも新しくしよう! ってことでこいつを購入したのですが、これがまたなかなかに良い感じ。もちろん、価格なりに粗が目立つ箇所もあるにはあるのですが、予算を抑えつつ自作PCを組むのであれば……このケースを選んどけば間違いなしです。
おすすめのATX PCケース「Thermaltake Versa H26」
それじゃ、まずはThermaltake Versa H26の仕様についておさらいしておきましょう。ミドルタワータイプのケースとなっているため、サイズは割と大きめですが……その分拡張性は高く、パーツ構成の自由度が高いのが特徴です。
Thermaltake Versa H26の仕様
サイズ | 220×493×464mm 6.08kg |
対応マザーボード | ATX/microATX/Mini-ITX |
対応電源 | ATX 12V(最大220mm) |
対応グラボ | 最大310mm |
対応CPUクーラー | 前高160mm |
拡張スロット | 7段(ネジ留め) |
ドライブベイ | 外部5.25インチ×2 内部3.5/2.5インチ共用トレイ×2 内部2.5インチ ×3 |
搭載可能ラジエータ | 上面:360/280mm×1 前面:360mm×1 背面:120mm×1 |
搭載可能ファン | 上面:120mm×3 or 140mm×2 前面:120mm×3 背面:120mm×1 |
I/Oポート | USB 3.0×2、USB 2.0×2、マイク×1、ヘッドフォンジャック×1 |
Thermaltake Versa H26の仕様についてはこんな感じ。ゲーム用でも、仕事用でも、必要な拡張性はしっかり備えているので、4,000円と少しで買えてしまう価格を考えればなかなかに贅沢な仕様かなぁと。素敵ですね。
ここからはThermaltake Versa H26のデザインや構造についてチェックしていきましょう。
低価格ながらちゃんとしてるデザイン
まずはThermaltake Versaのデザインと構造について。ケースの材質は、一般的な鋼版”SPCC(冷間圧延鋼板)”が採用されていまして。前面のフロントパネルは取り外し可能なABS樹脂製カバーになってます。
拡張スロットは、配置箇所のスロットをパキッと折って取り外し、固定するタイプ。
フロントパネル上部にはUSB3.0ポートが2個、USB2.0ポートが2個、ヘッドフォン端子、マイク用端子、リセットボタン、電源ボタンが配置。
ケースの内部構造はこんな感じになっていまして。ATX電源とケース内部は分離されているので、見た目はすっきり。サイドパネルを取り外すだけで内部にアクセスできるのでパーツのアップグレードや掃除、メンテナンスはしやすくなってます。
最近は省略されがちな”5.25インチオープンベイ(2段)”が搭載されているというのもGoodなポイントで、これは取り外しOK。※5.25インチオープンベイには光学ディスクドライブなどを搭載可能。
前面に120mmファンを3基搭載する場合や上部に360mmラジエーターを搭載する場合は5.25インチベイとのトレードオフになってしまいますが、用途や好みで選べるというのは良き。
ケースの背面はこんな感じ。裏配線がしやすいよう多くの”スルーホール”が設けられているので、電源周りとマザーボード下部を除いて取り回しに困ることはありません。
詳細は後述しますが、電源周りとマザーボードの下部は実用性が皆無なくらいにかつかつのスペースになってるんですけど、タイラップ(タイラップ)を固定する用のフックがありまして。ケーブルマネジメントのしやすさはかなりのもの。
マザーボード固定用のネジ()のほか、ケースに使用するネジは上記3つ。
- Screw M3 5mm: 2.5インチ HDD/マザーボード/ODD
- Screw #6-32 ×5mm: HDD
- Screw #6-32 × 6mm: PSU(電源)
ネジの強度は価格なりで。無理に力を入れて違うネジを使うとネジ山がつぶれてしまう可能性もあるので、取り付けガイドを見ながら取り付けましょう。
標準でブルーLEDファン1基と背面排気ファン1基を搭載
Thermaltake Versa H26は前面に吸気用の”120mm ブルーLEDファン“1基と背面に排気用の”120mm ケースファン“を1基搭載しているのですが、これは初めて自作PCを組む場合に嬉しいメリット。
あらかじめ吸気用と排気用ファンが搭載されているので、別途ケースファンを買い足す必要がないってのは良くないですか? フロントのファンは青色に綺麗に光りますし。
静音ってほど静かではないですが、うるさいこともなく。4,000円と少しのケースに2基のファンが付属してくるっていうのは……すごい。
通気口が多数に配置されたデザイン
Thermaltake Versa H26じゃケースの前面/上面、底面に無数の通気口が配置されているというのも特徴で、前面以外のファンを排気用に配置すれば優れたエアフローを確保できるというのもポイント。
上面の通気口にはマグネット式のダストフィルター、底面にはスライドして取り外しができるダストフィルターを搭載しています。(電源ユニットの真下に配置)
Thermaltake Versa H26の使用感について
このあたりで、Thermaltake Versa H26の実用面や使用感についてレビューしつつ見ていきましょう。上の画像の通り、サイドパネルは非常にクリアなアクリルパネルになっているので、ぐいぐい光らせたり、ドレスアップしたい人にもおすすめなケースかと。
(僕はサブPC用として購入し、元々光らせるつもりはなかったんですけど、クリアパネルを見てたら光らせたくなっちゃったっていう)
一通り取り付けてみるとこんな感じ。電源とケーブルを通すスルーホールまでの距離が長めなので、綺麗に配線するならEPSケーブルの長さが60cmくらいの電源ユニットがおすすめです。※玄人志向 KRPWシリーズなど。
また、背面にはCPUクーラーの取り付けでマザーボードを取り外さなくてもいいように”メンテナンスホール”が設けられているため、あとからCPUクーラーをグレードアップしたくなっても簡単に作業することができますよ。
5.25インチオープンベイに光学ドライブを搭載するとこんな感じ。オープンベイを覆うカバーは簡単に取り外すことができるのですが、光学ドライブを搭載したままではベゼルがひっかかり、フロントパネルを取り外せなくなります。
フロントパネルをパカっと。Thermaltake Versa H26のフロントパネルは”ツメ”で固定されているだけなので、底から手を入れて手前に引っ張ってやれば簡単に取り外すことができます。
ケースファンを取り付ける際なんかはフロントパネルを取り外して作業することになるので、取り外しやすいのはうれしいポイントですね。
2.5インチHDD/SSD用シャドウベイは、ツールフリーで取り付けできるタイプ。HDDであればカチッと簡単に取り付けることができるほか、アクセスしやすい箇所でもあるため、ストレージはここへ優先的に搭載したいところ。※SSDはネジで固定。
Thermaltake Versa H26は背面にSSDを3基搭載できるのですが、上部に取り付ける場合はオープンベイを取り外す必要があるほか、配線を考えるとなかなかに辛いですし、グロメット(スルーホールに取り付けられたゴム製のカバー)を外す必要があります。
これまでにもチラッと触れている通り、Thermaltake Versa H26は背面の”ケーブルマネジメントのしやすさ”がなかなかのものでして。タイラップを固定するためのフックも設けられているため、かなりすっきりとまとめることができるはずです。
(ごちゃごちゃしてるように見えるけども……これでもいつもの僕の配線に比べればかなーりマシ)
Thermaltake Versa H26のデメリット
このあたりで、Thermaltake Versa H26の微妙なところ、価格相応な部分にも目を通しておきましょう。
これは当たり外れもあるかと思うので、Thermaltake Versa H26を購入する場合は“外れガチャ”的な要素があると思って購入すると良きですよ。(4,000円ちょいで買えるケースですし、文句を言うのはナンセンス)
サイドパネルの固定穴が合わない
まず1つめ、僕が最も苦戦しているのがサイドパネルの”固定用穴のズレ”です。上の画像で十分伝わるかと思うのですが、すっと収まらない。めっちゃ入りにくい。
ちょい角度をつけて、持ち上げつつ固定ネジを締める……みたいな感じで誰徳なテクニックが必要です。
クリアアクリルのサイドパネルは保護フィルムが張られているので、外すのもお忘れなく。
ネジ山がおかしい
次に、背面パネルを固定する用のネジについてなんですけど、なんかネジ山がおかしくて。最後まで手締めで固定できません。(僕が何かやらかしたわけではありません。はじめからです)
詳細な場所は忘れたんですけど、異様に固定されているネジが硬かったり、ネジ留めしている際に感じる弱さだったり、Thermaltake Versa H26に付属するネジは品質はそこまで高くないと思っておきましょう。
電源ユニットとマザーボード下部の配線が窮屈
一度電源ユニットを取り付けてしまえば気になることはないんですけど、このケースは電源ユニットの搭載スペースがかなーりシビア。
余裕のあるスペースがほんの少ししかなくて。プラグインタイプの場合、後からケーブルを足したり、外したりはほぼほぼできないため、そのあたりは留意しておくといいかもしれません。
公式では最大220mm(奥行)の電源ユニットを搭載可能となっているんですけど、見るからに厳しめなので……もう少し余裕をもって見ておくと良き。
また、電源ユニット周りのスペースの窮屈さに付随してマザーボード下部のケーブルマネジメントも厳しめで。(USB2.0/3.0やAUDIO、電源ボタンの配線など)
というのも、ケース下部のスルーホールは電源ユニットの後ろを通す感じでケーブルを持ってくるのですが、もうパッツパツなのです。USB3.0の配線は無理に力がかかってる感じ。僕は無理やり通しているのですが……これはちょっと怖いので、CPUファンをアップグレードする際にまた配線しなおす予定です。
Thermaltake Versa H26のレビューまとめ
さてさて、こんな感じで。4,000円と少しで買えてしまうコスパを誇りながら、かなり贅沢な仕様に仕上がっている”Thermaltake Versa H26″なんですけど、最後にレビューまとめで締めといきますね。
メリット
- 無数の通気口が配置され優れたエアフロー
- クリアアクリルのサイドパネル
- 必要十分以上の拡張性
- 良くも悪くも普通なデザイン
- 配線しやすく、内部へのアクセスもしやすい
- 4,000円と少しで買える圧倒的コスパ!
デメリット
- 当たり外れによるものの、ネジ穴の位置が合ってなかったり、外せないほどに硬く絞められていたりする
- 電源ユニット周りのスペースが厳しい
- 独特な個性があるケースではないところ
レビューまとめ
デザイン | ★★★★☆ |
拡張性 | ★★★★★ |
配線のしやすさ | ★★★★☆ |
エアフロー | ★★★★★ |
静音性 | ★☆☆☆☆ |
価格(コスパ) | ★★★★★ |
Thermaltake Versa H26に対する僕のレビュー/評価をまとめるとこんな感じ。
価格を考えれば最高過ぎるケースなのですが、静音性の評価が低めなのは無数の通気口が配置されているため、当然といえば当然ですね。(付属するファンは静かではないですが、そこまでうるさくもありません)
気になる点を挙げるとすれば、電源ユニット周りのスペースの無さと”外れガチャ”の存在なんですけど、4,000円と少しで買えるPCケースなのでそのあたりは気にしてもしょうがないのかなぁと。むしろ、この価格でこのケースを販売してくれてるのがすごい。
少なくとも、僕は大満足していますし、Thermaltake Versa H26が素敵なPCケースだというのは間違いなし。低予算で自作PCを組もうと考えているブラザーはぜひお試しあれ。