音場作りに圧倒的こだわりを感じるイヤホン。
2019年に声優の小岩井ことりさんが”えっちなイヤホン”がヤヴァイ…と紹介して話題になった「final E500」を”ほぼ”4年越しに購入したので、音質や使用感をチェックしつつ、ダダっとレビューをお届けです。
final e500はバイノーラルサウンドに適したイヤフォンになっていて、想定される用途はASMRやゲーム、VR動画など。ASMRだけでなく、ゲーミングイヤホンとしてもがっつり使えるイヤフォンかなぁと。
僕はゲーム用(主に原神)に購入したのですが、概ね大満足の仕上がりで原神のキャラボイスも無限に聴ける…。final E500については語りたいことがたくさんあるのでダダっとレビューいきましょう。
final E500の価格は1,980円。Amazonや楽天で購入可能です。※final公式ストアは現在休止中。
バイノーラル特化でASMRに最適な音質。final E500をレビュー
パッケージはこんな感じ。めっちゃシンプル。
それじゃ、まずは「final E500」の付属品をおさらいしつつ、機能や性能についてダダっとおさらいです。
final e500はバイノーラル技術を用いて方向感を再現するゲームやVRコンテンツを再生するための研究成果から生まれたカナル型イヤフォン。
6.4mmのダイナミック型ドライバーユニットを搭載し、バイノーラルで制作された音源特有の”違和感が少ない自然な音色”により、音源そのものに集中できる…というのが大きなトピックです。
付属品はイヤフォンと説明書、シリコンイヤーピース(Type E 5サイズ)のみ。
final e500のイヤーピースは音導管部分と耳に触れる部分とで硬度が異なる2種類のシリコン素材が使用されており、音導管部分は硬度が高めのシリコンに”溝加工”を施すことで強度と柔軟性を両立しているとのこと。
(イヤーピースは色付けされているので、L/Rの判別がしやすいというのもポイント。右側が赤やピンク。左側はグレー系統の色です)
詳細は後述しますが、耳に触れる部分のシリコンは柔らかく、ある程度の遮音性もあります。サードパーティのイヤーピースに変えなくていいくらいハイクオリティ。
従来のイヤホンやヘッドホンでバイノーラル制作されたゲームやVRなどの音源を聴くと、高音域に独特の違和感が生じることは広く知られていました。音響に携わる研究者達はこの原因について掴んではいましたが、その対策について十分な成功を収めた例はまだありませんでした。今回、新たなアプローチでその問題への対策を講じた結果、バイノーラル制作されたゲームやVRなどの音源において、制作者の意図通りの音色と空間イメージや方向感を感じることのできるイヤホンを誕生させることができました。
final公式HP
final E500のデザインを眺める
ここからは「final E500」のデザインについて。
final E500はバイノーラルサウンドの視聴に適したイヤフォンで形状は”カナル型”。同価格帯のイヤフォンとしては圧倒的に高い精度を誇る6.4mmダイナミック型ドライバーユニットを搭載しています。
イヤフォンのハウジングこんな感じ。奥行はちょっと長めですね。(寝返りすると当たるので寝ホンにはあまり向かないかも)
背面には”final”のロゴ。ブッシュ(ケーブルの根本)は折れないようにブーツ加工が施されていますが、耐久性にちょこっとだけ不安が残る。
軸の色で左右を見分けられるユーザフレンドリー仕様。
ハウジングにはL/Rの表記と”final”のロゴが印字されていますが、ひっそりとしててちょっと見にくいかなぁと。(final E2000みたいにもう少し主張してくれてもよかった)
そのかわり、final E500はイヤーピースの軸部分が色付けされていて、赤やピンク系統の色は右側、グレー系統の色は左側といった感じで直感的に判別しやすい。
ノズルはこんな感じ。
final E500には同価格帯では頭ひとつ飛び抜けた精度を誇る6.4mm ダイナミック型ドライバーユニットが搭載されています。高音域もよく鳴るし、低音もしっかり響く。
ちなみに、ケーブルは柔軟で太めの「OFCブラックケーブル」。プラグはL字型。取り回しもよく、こういったところは国産らしい気遣いですね。
2,000円以下でOFCまで…finalさん素敵すぎる。
#Tips |
OFC(Oxigen Free Copper)とは「無酸素銅」のこと。一般的なケーブルで採用されているタフピッチ銅(TPC)よりも銅の中に含まれる不純物が少なく、純度は約99.995%。TPCよりも高級なスピーカーケーブルの素材によく採用されてます。OFCの特徴としては、ノイズが乗りにくく、解像感も高め。高音域の伸びも増加するのだとか。要するに”良い”素材。 |
ASMR特化。final E500の音質を試す
E500は装着感もばっちり。ズレない。
お待たせしました。ここからは「final E500」の音質について見ていきましょう。(なるべく客観的なレビューを心がけていますが、筆者の主観も大いに含まれます)
まずは普通に音楽を聴いてみましょう。final E500の音質の傾向としては……
- 音の解像感が高めで全体的にサラウンドな音
- 音場も感じやすく、立体的な音質で音楽を聴ける
- 高音域は特に伸びが良くて、ボーカルが前に出る楽曲との相性が抜群
- ボーカルめっちゃ良い。…すごく良い。
- 6.4mmダイナミックドライバーの恩恵で低音もしっかり響く
こんな感じ。聴けば聞くほど1,980円で買えるイヤフォンの音質じゃないかなぁと。もちろん、final E500はバイノーラルサウンドに特化したイヤフォンなので”精確な細かい音”を表現するのは苦手ですが、ボーカルの再現に関しては一線を画すシンプルにすごいイヤフォン。…えっちなイヤフォン。
せっかくなので、いつものレビュープレイリストでfinal E500の音質を試してみましょう。今回の環境は一般的な用途を想定してアンプ無しのPC接続。音響効果無しの192KHz/24bitで出力しています。プレイリストもちょこっと変えた。
#Tips |
イヤフォン/ヘッドフォンすべてに言えることですが、音圧(感度:dBとインピーダンス:Ω)を稼ぐため、ノイズを減らすため、ベストな音質で楽しむためには別途DACを使用するのがベター。final E500はインピーダンスが低く、感度とのバランスも絶妙なのでそこまで気にしなくてもいいかも。 |
音質を試したプレイリスト
- traveling – 宇多田ヒカル
- Love in the First Degree – Bananarama
- bad guy – ビリー・アイリッシュ
- Don’t Stop Believi’n – Glee
- DOLLS – Janne Da Arc
- 恋をするだけ無駄なんて – シャ乱Q
- サヨナラの意味 – 乃木坂46
- Bad Romance – Lady Gaga
- Talking to the Moon – ブルーノ・マーズ
- Ave Maria – Jackie Evancho
- 可愛くてごめん(feat.ちゅーたん CV:早見沙織)
final E500は”音の定位感”がとても優れていて、例えば、Janne Da Arc – Dollsのようなバンドミュージックは、右耳でアコースティックギターをしっかり感じつつ、左耳でキーボードのストリングスやギターのリフが心地よく入ってくる感じ。それでいてボーカルもしっかり強調されてます。それぞれのパートがバシッと離れて聴こえる…と言うとイメージが伝わりやすいかも。
(ばちっと位置を決めて設置したステレオスピーカーで聴いている感覚に近い)
Ave Mariaのようなクラシック音楽だと広い音場がめっちゃ良い仕事してくれていて、ボーカルの気持ちよく伸びるソプラノ、コントラバスの低い淀むような響きもしっかり再現してくれます。(これで2,000円…すごい)
推しの声に浸りたいがためにプレイリストに加えた”可愛くてごめん(feat.ちゅーたん CV:早見沙織)”は……最強。もう素晴らしい。語彙力がなくなるくらいに気持ちよく聴けました。
あと、これはものすっごく僕の好みが影響してますが、ビリーアイリッシュのocean eyesとwhen the party’s overもやっばい。超気持ちよく聴けます。final E500は一般的なイヤフォンと比べると個性がはっきりしているので、いつも聴いている楽曲をじっくり聴き返してみると新しい発見があるかもしれません。
SONY ノイズアイソレーションイヤーピース
それと、いくつかサードパーティのイヤーピースも試してみましたが、ソニーのウレタンフォームイヤーピース「EP-NI1000」なんかは音の解像度がさらに上がるかなぁと。
とはいえ、final E500のバイノーラルに特化した独特な傾向の音質は純正イヤーピースのほうが相性に優れていると感じたので、音楽専用で聴くならイヤーピースを変えるのもありですが…大抵の場合はそのままでいいかも。
final E500の周波数特性
final E500の周波数特性はこんな感じ。高音域で盛り上がりがあり、かなり広い範囲まで周波数帯域が広がっているのが分かりますね。これがASMR特化の秘密かも。
バイノーラルサウンド視聴用動画で音質を試す
final公式HPではバイノーラルサウンドの視聴用動画が紹介されているので、こちらもいくつか視聴してみました。(ちなみに、ダミーヘッド バイノーラルマイクの価格は115万円…。このマイクで録音された音源は軒並み高音質なので探してみるといいかも。ゾクゾクします)
- Virtual reality for your ears – Binaural sound demo (wear your headphones) – BBC Click
- Le son binaural en immersion
- dearVR UNITY | Immersive sound design for games
- BF4: Binaural Audio Demo
- LST | 3D Sound Demo
まずは1つめ。BBCのバイノーラルサウンドに関する動画ですが、4:57秒あたりから始まるデモが”聴覚的に”面白くて。背後に回りこんだ時の聴こえ方、スプーンがコップに当たって鳴る音、耳元で囁く声が非常にリアル。
空間的な広がりと反響して聞えてくる音までばっちり聞こえてきます。
次にフランスのバイノーラルサウンドのデモ動画。final公式曰く「音の距離感と方向感に着目してください」とのことでしたが、窓を閉める音やハサミで髪をカットする音の距離感がなかなかに明確。特にドアをノックする音は思わず振り向きたくなるほどでした。
final公式がピックアップしてくれた音源も素晴らしいですが、なによりもそれらの音源の製作者が意図した音をばっちり再現できるfinal E500が素敵過ぎた。
benio店長/ASMR屋さんの「ASMR|ようこそ、リアルな立体音響の世界へ 10種類の極上睡眠トリガー(Free Space ProⅡ / 囁き声)」やHATOMUGIさんのバイノーラル動画「[ASMR] 顔タッピング&ささやき雑談 / KU100」 を視聴してみたところ、耳タッピングやブラッシングの音もめっちゃ心地よく聴けたので、ASMR用としてもめっちゃおすすめです。
あと個人的にもうひとつ。ホロライブ 白銀ノエルのASMR「心も脳も蕩ける睡眠導入剤」もめっちゃ気持ちよいので、final E500を購入したらこちらもぜひお試しあれ。…寝落ちしそう。
final E500はゲーミングイヤホンとしてもおすすめ。原神との相性もばっちり
ここからはfinal E500のゲーミングイヤホンとしての音質や使用感についてダダっとレビューしていきます。
僕は原神で推しのキャラクターボイスに浸るために購入したと言っても過言ではないのですが、final E500は原神のようにキャラクターボイスを堪能しつつ、ストーリーやイベントも楽しむようなゲームとの相性は抜群。
(原神のオープニング画面で『こんないっぱい声入ってたっけ?』ってなる)
final E500は立体的に空間的な広がりを感じることができるので、日々のデイリーや探索、ちょっとした寄り道まで、原神の世界に存分に没頭して楽しむことができます。
エイペックスやPUBG、BattlefieldやCoDなどのFPSゲームをプレイする場合でも、final E500は前後左右、上下の音、距離感を掴みやすいのでかなりおすすめできるイヤフォン。
(final E500が秀逸なのは言うまでもないですが、ApexやPUBGは7.1chじゃなく、ステレオでも位置関係が把握できる素晴らしい音響というのがよく分かりました)
時間はかかるけど、エージングでさらに変化する音質
ちなみに、final公式さんによればfinal E500は”エージング”に少し長めの時間がかかるとのこと。大体150~200時間程度使い続けると音の繊細さが増したと感じられるようです。普段聴いている楽曲、環境、音量でゆっくり慣らしてあげましょう。
final E500は良い音源かつ環境(できれば192KHz/24bit以上)で視聴するとその特性を存分に発揮してくれますよ。
本製品については、小口径である為、エージングの変化がわかり難くなるまでに長めの時間が必要です。概ね150~200時間程度、通常の使い方を続けて頂けましたら、繊細さが増したと感じられる筈です。大音量でのエージングやノイズによるエージングよりも、普段お聴きになる音楽、音量でエージングを進めた方がより好ましい結果が得られます。正確な比喩ではありませんが、靴を馴らす為に無理な動きをすると、普段歩くのとは異なる皺ができる筈です。振動板も同様に無理な動きをさせるよりも、ご使用になられる環境で馴らした方が自然、と考えて頂けると良いでしょう。
final公式HP
装着感は良好。タッチノイズは結構出る
Credit:final公式HP
final E500の装着感についてですが、こちらはかなり良好。イヤーピースを左右に振ることができる”スウィングフィット機構”により、耳道の傾きにジャストフィットしてくれます。
イヤーピースの開口部が耳道にあたる事による変形を防ぐため、音がダイレクトに鼓膜に伝わってクリアな音を実現しているとのこと。純正のイヤーピースなのにある程度の遮音性があるのもGood。
くいくいっと立体的に動かして装着するのですが、全くズレない。気持ち大きめのイヤーピースを装着すると低音の響きと遮音性が増します。
ただ……ひとつだけ惜しいのがfinal E500は思っているよりもタッチノイズ(ケーブルが服などにこすれた時に聴こえる不快な音)が出てしまうこと。
ケーブルを耳にかけたり、イヤーフックを使用することで軽減することはできますが、これはE500の唯一の欠点であり、デメリットかなぁと。音楽を聴いたり、ゲームのプレイ中は気にならないですが、頭を動かすVRゲームだと結構気になるかもしれません。
final E500のスペックと仕様
モデル (型番) | final E500 (FI-E05PLBL) |
筐体 | ABS |
重さ | 15g |
ドライバー | 6.4mm ダイナミックドライバー |
インピーダンス | 16Ω |
感度 | 98db/mW |
ケーブル | OFCブラックケーブル 長さ:1.2m |
付属品 | シリコンイヤーピース(Type E 5サイズ) |
レビューまとめ。final E500はバイノーラル特化なASMRにおすすめのイヤホン
音楽を聴いたり、バイノーラル動画を視聴してみたり、final E500の音質や使用感についてじっくりレビューしてきたので少々長くなってしまいましたが、最後に僕の評価とレビューをまとめておきます。
えっちなイヤホンの異名は伊達じゃない。
final E500 レビュー&評価
ASMR用途なら圧倒的満足感が得られる。
✓good!
- 圧倒的コスパ
- ASMR特化でリアルな音
- 音場が広く立体感も感じられる
- 同価格帯で抜群の高音質
✓not good
- タッチノイズが目立つ
- サラウンドな傾向が強いので音楽は低音がぼやけがち
- ブッシュ(ケーブルの根本)の耐久性がちょっと不安
✓Rate
音質 | 装着感 | 解像度 | 定位感 | コスパ |
A | B | B | S | S+ |
総合評価 | S |
※レビューの評価基準についてはこちら。
final E500は価格も1,980円と買いやすいですし…シンプルに良いイヤフォン。
なにより、この価格でASMRなどのバイノーラルサウンドを全力で楽しめるのは嬉しいなぁと。E500はゲーミングイヤホンとしても使えますし、ガチでおすすめです。
finalの有線イヤフォンは強調した音域を作らないことでクリアな音質を実現し、”楽しく響かせる音質”を追求したイヤフォン「final E2000」も気になっているので…次はこっち買ってみようかな。
final E500はAmazonや楽天で購入可能です。