AirPodsよりも有線イヤフォンが海外で話題らしいから改めてメリットを考えてみる

どこもかしこもAirPods。The Wall Street Journalによれば、普及し過ぎたAirPodsよりもレトロな有線イヤフォンが現在話題だそうで。
ベラ・ハディッド、リリー=ローズ・デップ、ゾーイ・クラヴィッツなど、スタイルアイコン級のトレンドセッター(流行に敏感でいちはやく取り入れる人)たちが有線イヤフォンという古いテクノロジーを復活させているようです。
つい最近発売されたばかりのAirPods(第3世代)は、感圧センサーに空間オーディオ、アダプティブイコライゼーションと最新技術モリモリ。AppleのAirPodsシリーズは2020年9月~2021年9月までの間に383億ドル(約4兆3,637億円)もの利益を上げているため、まだまだこの勢いは続きそうですが、海外では"今、買うべき有線イヤフォン"という見出しで記事が掲載されるほどに有線イヤフォンの人気が再燃中なのだそう。
とはいえ、有線イヤフォンがAirPodsよりも人気というデータは存在せず、あくまでThe Wall Street Journalの記事は印象論です。個人的には有線イヤフォンが主流になる世界線は今後もう来ることは無いと考えていますが、有線イヤフォンだからこその"良さ"もありますし、根強い人気があることも確か。
せっかくなので、この機会に有線イヤフォンのメリットについて一緒に見ていきましょう。
AirPodsよりもレトロな有線イヤフォンが海外で流行中
さて、まずはWSJが報じているAirPodsはもう古い、クールではなくなったという記事についておさらいしておきましょう。
普及し過ぎたAirPodsはもはやクールではないとのことで、ベラ・ハディッド、リリー=ローズ・デップ、ゾーイ・クラヴィッツなどのファッショナブルなトレンドセッターがコード付きのイヤフォンを身に着けて街を闊歩する姿が撮影されているとのこと。
つまり、エアポッズは普及しすぎて、もはや「クール」なものではなくなっている。そこで、おそらく必然的な流れとして、天邪鬼なトレンドセッターたちが有線ヘッドホンという古いテクノロジーを復活させているのだ。
The Wall Street Journal
インスタグラムでは、街中で目撃した有線イヤフォンを投稿する@wireditgirlsというアカウントが立ち上げられ、動画共有アプリ「TikTok」ではとある動画をきっかけに"有線イヤフォン"のキーワードが急上昇。40万超のいいねや1万2,000件近くのコメントが書き込まれたその動画では「有線イヤフォンは音楽を聴いている姿を演出する」「私はシンプルなものが好き。最先端のガジェットにはついていけないという謙虚な印象を発信できる」と有線イヤフォンが再び流行している実用的な理由を解説しています。
WSJが考察している有線イヤフォンがトレンドになっている理由についてさくっとまとめてみましょう。
- コードは隣に座らないでほしいという要素を示すものであり、一部の人に対してはここが訴求ポイント。AirPodsは目立たないため、少なくとも外の世界から声をかけてもいいように見えるが、有線イヤフォンは着けている人を他人から隔絶する。
- 有線イヤフォンは「邪魔しないでほしい」という雰囲気を醸し出しているため、無意識的にグランジ的な美学に結びつく。
- その美学は「2010年代のTumblr(タンブラー)」気分と呼ばれ1990年代のグランジスタイルをパステル調にして若々しくしたようなもので、ソーシャルメディアのプラットフォーム上で拡散している。
- タンブラー時代への感傷と人気復活で音楽を単なる実用的な消費ではなく全体的な美的体験としてみている。
- ↑僕にはちょっと何を言っているのかわからない。
- 有線イヤフォンはそのノスタルジックな輝きだけでなく、最適化されたITかぶれの企業文化に対する自由放任な対抗心ともとらえられる。
- 有線イヤフォンは金融マンの美学とは正反対で常にパタゴニアのベストを着てAirPodsをつけているような金融マンの外観を多くの人がからかいの対象にしている。
実用面では価格も重要で、AirPods Proは30,580円(税込)、旧モデルとなった第2世代でも16,800円(税込)なのに対して、Apple純正の有線イヤフォンEarPods with Lightning Connectorは2,200円(税込)。ほかのメーカーから発売されている有線イヤフォンも候補にいれれば、もっと安く購入することもできます。
これはあくまでも僕の意見ですが……AirPodsの音質はとても価格に見合うとは言えず、1万円以下の有線イヤフォンでもAirPods以上の音質が得られるというのも実用面では重要なファクターの1つです。
さらに詳しい記事が気になる人はWSJの記事もあわせてどうぞ。
▶エアポッズはもう古い?有線イヤホンが復活 レトロなコード付きイヤホンが再び流行、その美的・哲学的なクオリティーとは – WSJ
有線イヤフォンにも明確なメリットがある

ここからは僕が考える有線イヤフォンのメリットについて。最も大きなメリットはKBEAR KS2などのイヤフォンのようにAirPods Proの10分の1以下の価格で買えるのにそこそこ良い音質で音楽を楽しめるということ。
ノイズキャンセリングが基本機能になりつつあるワイヤレスイヤフォンと比べ、有線イヤフォンはノイキャン搭載のものがそう多くないですが、音質という1点で見るならAirPods以上のものが遥かに低いコストでたくさんあります。
音楽を聴いているから話しかけないで感が醸し出せる
WSJの記事でもあったように、有線イヤフォンはケーブルが露出していることで「音楽を聴いている感を演出できる」というのはメリットの1つ。
AirPodsなどのワイヤレスイヤフォンは一目ではイヤフォンをつけているのか、つけていないのかが分かりにくいですが、有線イヤフォンであれば誰から見ても音楽を聴いていることが分かります。
音の遅延がほぼ無い
最近は多くのワイヤレスイヤフォンがAACやapt-Xのコーデックに対応し、音の遅延が小さくなりましたが、それでもわずかな遅延があります。(気にならないレベルではありますが)
動画やシビアな音ゲーでは遅延があればあるほど気になるものですが、有線イヤフォンの遅延はワイヤレスイヤフォンと比べて圧倒的に少なく、遅延は"ほぼ"無い。
低価格で高音質なものが多い
KBEAR KS2やKZ AS06、SONY MDR-XB55などのように、有線イヤフォンは3,000円程度でも音質で優れるモデルが多いというのは最も大きなトピックであり、メリットの1つ。
AirPodsは旧型の第2世代でも16,800円(税込)ですが、音質でいえば有線のEarPodsと大差ありません。
有線でもAirPodsでも、結局自分が好きなほうを選べばいい
海外のトレンドセッターたちが有線イヤフォンを愛用している理由がなんとなく分かりましたが、1つ注意したいのはWSJの記事はあくまでも印象論であり、海外のセレブのあいだで有線イヤフォンが流行っているかもってお話。データがあるわけではありません。
確かに、AirPodsはかなり普及していますし、WSJの記事を見てみると有線イヤフォンがトレンドになりつつあることも一理あるかなぁと思います。でも、イヤフォンにそこまでこだわらない人たちもいるので、すべてをひっくるめて考えるのは違うのかなぁと。
いずれにしましても、有線でも、AirPodsでも、ほかのワイヤレスイヤフォンでも、自分が納得して使っているならOK。有線イヤフォンのノスタルジックさがおしゃれに見えるのも分かる気がしますし、古い有線イヤフォンを引っ張り出してきてファッションアイテムとして組み合わせてみるのもいいかもですね。
いいよ、有線イヤフォン。
Source:The Wall Street Journal