今回のトピックは2020年9月4日に発売され、僕も速攻予約して購入し、毎日愛用しまくっているSONYのハイエンドノイズキャンセリングヘッドフォン「WH-1000XM4」について。
ほんと毎日使っているのですが、こいつが最高で。
前モデル”WH-1000XM3″と比べてデザイン的に大きな変化は無いですし、音の傾向/音質についても変わらないんですけど、ノイキャンは確実に性能UP。装着感が増したことで疲れにくくなりましたし、新機能”Speek to Chat”がまたいい感じなのです。
とまぁこんな感じで、SONYの新型ノイズキャンセリングヘッドフォン「WH-1000XM4」は語りたいことがありまくりなのですが、とにもかくにも、じっくりレビューといきましょう。
WH-1000XM4は絶好調発売中。価格は44,000円(税込み)ですが、今ならAmazonで4万円切ってます。お買い得!
※SONYの新型ノイキャンワイレスイヤフォン”WF-1000XM4“が発売されたので、少しだけ追記しました。リッチな音が楽しめるのはWH-1000XM4ですが、カジュアルに優れたノイキャンを求めるならWF-1000XM4が至高かも。
▶【レビュー】WF-1000XM4は素晴らしい性能のノイキャンと極上の音質が体験できる最強のワイヤレスイヤフォン – iyusuke
至高の音質と静寂のノイキャン!WH-1000XM4をレビュー
詳しいレビューの前に、WH-1000XM4のデザインや性能についておさらいしておきましょう。WH-1000XM4は、ノイキャンヘッドフォンの完成系と揶揄されることもある名機”WH-1000XM3“の新型モデルでして。
デザイン、プロセッサー”QN1″、40mmの大口径ドライバーなんかは前モデルから同じものを継承しているのでマイナーチェンジかと思いきや…侮ることなかれ。
WH-1000XM4はディープラーニング(機械学習)により機能面で大きく進化しました。(御覧の通り、デザイン的な変化はほぼ無いんですけどね)
WH-1000XM4を折りたたむとこんな感じ。これもWH-1000XM3と同じですね。NFCが刻印になり目立ちにくくなったのはGood。
充電端子はUSB-C。左側ハウジングには有線接続用のステレオミニジャック、電源ボタン、状態を表すLEDインジケータ、CUSTOMボタン、そして、装着者の声を認識するためのマイクが2つ配置。
新しく2つの音声認識用マイクが搭載されたので、ノイキャン用のフィードバックマイク/フィードフォワードマイクと合わせて合計5つのマイクを搭載してます。
ブラッシュ加工が施されたメタルのアームは前モデルから変化が無いですが、”WH-1000XM4″の刻印がよりデザインに馴染むカラーに。
イヤーパッドは”装着感”にさらに磨きをかけ、前モデルと比べて10%ほど耳との接地面が増加。
左側のイヤーパッド内部には、装着状態を検知する近接センサーが搭載されていまして。デザインに変化がないだけに、近接センサーにワクワク。
この近接センサー、レスポンスもすごく良い感じなんですよね。外してすぐ停止。装着してすぐ再生してくれます。
付属品
このあたりでWH-1000XM4の付属品についてもささっと目を通しておきましょう。WH-1000XM3から引き続き高級感のあるキャリングケースが付属するのは健在で。
綺麗にすっぽり収まる感じも相変わらず。収納ケース自体にも大きな変化はないですが、ストラップだったり、メッシュのポケットだったりは若干色が黒くなりました。
付属品は、
- WH-1000XM4本体
- 専用キャリングケース
- USB-Cケーブル(20cm)
- 3.5mm ステレオミニジャックケーブル
- 航空機接続用の変換アダプタ
- クイックスタートガイド
上記の6つ。説明書は省くとして…これらの付属品すべてがケースに収まるって素敵じゃないですか? WH-1000XM4は全部ケースに入れて持ち運ぶことができるのです。
それじゃ、ここからはもう少しWH-1000XM4のスペックについて深堀りしていきましょう。
WH-1000XM4のスペック
プロセッサ | QN1 BluetoothオーディオSoC |
バッテリー(音楽再生) | 最大30時間(NC ON時) 最大38時間(NC OFF時) |
バッテリー(連続通話) | 最大24時間(NC ON時) 最大30時間(NC OFF時) |
周波数特性 | 4Hz-40,000Hz |
対応インピーダンス | 40 Ω (有線接続、POWER ON時 1 kHzにて)、16Ω(有線接続、POWER OFF時 1 kHzにて) |
音声入力端子 | 3.5mm ステレオミニジャック |
Bluetooth | Bluetooth 5.0 最大通信距離:約10m 対応BTプロトコルル:A2DP/AVRCP/HFP/HSP |
対応コーデック | SBC/AAC/LDAC |
WH-1000XM4のスペック・仕様については上記の通りなんですけど、機械学習と新しいノイズキャンセリングアルゴリズムを採用していまして。
周囲のノイズを毎秒700回追跡することで”高いノイズキャンセリング性能”を実現してくれています。それもリアルタイムで。
詳細は後述しますが、自分の声に反応して音楽を停止し、周囲の音を聞きやすくする「Speek to Chat」なんかの利便性をブーストするような新機能も搭載しています。
唯一のウィークポイントはaptX/aptX HD非対応
最高すぎる最高峰ノイキャンヘッドフォン”WH-1000XM4″なんですけど、唯一のデメリットが高音質コーデック”aptX/aptX HD”に対応しないということ。
これはAndroidやPCに標準搭載されているコーデックなのですが、WH-1000XM4は対応していません。(前モデル”WH-1000XM3″は対応してたのに)
元々SONYが開発したコーデック”LDAC“がものすごく優れているのは分かるのですが…ユーザーの選択肢の一つとして残しておくべきだったのでは? と。これはほんと唯一のウィークポイントです。
主な操作方法
基本的な操作はWH-1000XM3と同じなのですが、WH-1000XM4の操作方法についても改めておさらいです。
再生/停止 | ダブルタップ |
ボリュームアップ | 上にスワイプ |
ボリュームダウン | 下にスワイプ |
次の曲 | 前にスワイプ |
前の曲 | 後ろにスワイプ |
Speek to ChatのON/OFF | 2本指で長押し |
再生/停止、曲送りなんかは前モデルと同じ操作なので、買い替えでもスムーズに移行できるかと思うのですが、”Speek to ChatのON/OFFを切り替える方法”についてはぜひ覚えておいてほしくて。
というのも、この機能は便利な反面、反応してほしくない場面でも外音取り込みモードに切り替わってしまうんですよね。
アダプティブサウンドコントロールで最適化されるため、ほぼほぼ気になることは無いと思うのですがSpeek to Chatの切り替えは2本指で長押しって覚えておくと良き。
Speak to Chatが恐ろしく便利
次に、WH-1000XM4の機能面についても触れていこうかと思うのですが、まずは先にちょろっと触れていた新機能「Speek to Chat」について。
これがまたすごく便利な機能で、自分の声に反応して再生中の音楽を停止し、周囲の音を聞きやすくしてくれるのです。
※WH-1000XM4は、イヤーカフを手で覆うことで周囲の音を聞き取りやすくする「クイックアテンションモード」にも対応してます。
急に話しかけられた時って何かしらの気配を感じるじゃないですか? そんな時は「なんか言った?」みたいな感じで聞き返せばすぐに音楽が停止され、相手と会話できるようになるわけです。
小さな声にもしっかり反応してくれるので、この特性を逆手に取って「停止」とか「戦闘態勢解除」とか「ラ・ヨダソウ・スティアーナ」とか、会話があるであろう前にボソッと言っておけばスムーズに会話することもできますよ。
とまぁこんな感じで、変に誤作動することも今のところないですし、Speek to Chatはほんとに便利な機能。テンション上がって口ずさんだ時に反応して止まるのはWH-1000XM4あるあるですけどね。
音楽を聴きながら歌いたい場合はタッチパネルを2本指で長押ししてOFFにしましょう。
2台までの同時接続に対応
それともう一つ、機能面で新しいのは2つのデバイスとの同時接続ができるようになったということ。
マルチポイント接続をONにしていると高音質コーデック”LDAC”が無効になるため僕は常用してないのですが、そもそも、iPhoneなら”AAC”しか利用することができないので実質デメリットは無しですね。音楽再生も、通話も、接続先を切り替えることなく2つのデバイスと接続できます。
これも嬉しい人には嬉しい、そんな機能です。
WH-1000XM4の音質は?
お待たせしました。お待たせしすぎたかもしれません。ここからはWH-1000XM4の音質や装着感についてです。
とは言いましても、40mmの大口径ドライバーを搭載するのは同じですし、チューニングもおそらく変わらず。音質についてはWH-1000XM3からそこまで大きな変化は無くて。
(WH-1000XM4とWH-1000XM3でめちゃ聴き込んだんですけど、目に見えて分かる違いはありませんでした)
ノイキャンヘッドフォンの名機と謳われる先代”WH-1000XM3″と同様に伸びの良い高音域、深みのある低音域が特徴の音質になってます。強いて挙げるとすれば、音の分離感と低音域の厚みが増しているのかなぁと。
ただですね、WH-1000XM4はアップスケーリング技術「DSEE Extreme」を搭載した恩恵で圧縮音源をより原音に忠実に再現できるようになっていまして。音質面ではこのDSEE Extremeが大きなトピックになるのですが、これ、リアルタイムで音楽を分析して自動的にその音楽に合ったアップスケーリングを行ってくれるのです。
SONYさん曰く、DSEE Extremeは高音域の補完性能が向上しており、WH-1000XM3と比べてよりハイレゾ音源に近い音の変化や広がりを再現できる、と。
※WH-1000XM4は、DSEE ExtremeをONにした状態でもイコライザーを設定できるようになりました。
僕がWH-1000XM3とWH-1000XM4を1日ぶっ通しで聴き比べた感じでは、確かに音は違うんだけど、それが何なのかを掴めない、そんなイメージ。それくらい繊細な音をWH-1000XM4は再現してくれてます。
今まで僕が試してきたどんなイヤフォン、ヘッドフォンよりも原音に忠実で、音の分離感や立体感、深みを損なわない音。WH-1000XM4の音質を言葉で表すとこんな感じかなぁと。
とにかく”良い音質”ってのは間違いなしです。
ノイキャン性能は確実に向上
音質面と言えば、外せないのが”ノイズキャンセリング”の性能なんですけど、WH-1000XM4は確実にノイキャン性能が向上していまして。
WH-1000XM4を装着した瞬間に訪れる静寂。これが音楽を聴くという一点においてとんでもない効力を発揮してくれるんですよね。
前モデル”WH-1000XM3″ですでに音質/ノイキャンともにヘッドフォンのある種”到達点”に達していたと思うのですが、こいつは空調や車の音なんかの低周波数帯域は確実にシャットアウト、人の声や水の流れる音なんかの高周波数帯域のノイズもほぼほぼ聞えないレベルでシャットアウトしてくれます。(1-2mも離れればもう無音)
僕の仕事部屋にはでっかい水槽が置いてあるので、水の流れる音だったり、水を循環させるモーターの音だったり、空調だったり、割と”音” は多く混在している環境なのですが、WH-1000XM4はほぼ無音に近い静寂の空間を作ってくれるので、音楽に没頭できるというわけ。
キーボードのタイピング音や人の声は分厚いフィルターを挟み込んだように少ーしだけ聞こえますが、一般的な騒音はほぼ聞えなくなるので、外出時は外音取り込みモード推奨です。危ないですし。
快適になった装着感
音楽を楽しく聴くためには”装着感”も重要なファクターですが、WH-1000XM4は装着感にもしっかりコミットしていまして。快適さを追求して設計から徹底的に見直したとのこと。
なんでも、イヤーパッドの縫い目は耳に当たると硬く感じてしまうとのことで、より奥まった位置に配置されたそうですよ。
WH-1000XM4のイヤーパッドはふわっふわで。WH-1000XM3と比較して10%ほど耳との接地面が増加したため、側頭部にかかる圧力が均等になり、長時間装着していても疲れにくいよう改善。
装着感の向上については確かにその通りで、僕はこの記事を書いている間もずっとWH-1000XM4を装着して音楽を聴いたり、静寂を楽しんだりしているのですが、全く疲れなくなりました。
(イヤーパッドの密着具合も上がっているので、汗ばむとムレを感じ、ちょいちょい外すことはありますけどね)
WH-1000XM3の時はめちゃ気に入って毎日愛用してたんですけど、僕の頭の形との相性が少々悪いのか、すぐ頭頂部が痛くなってたんですけど、WH-1000XM4はそれも無し。ほんと何回も言ってる気がしますが……素敵すぎない? WH-1000XM4。
360 Realty Audioで立体音響にも対応
WH-1000XM4はリリース当初360度オーディオに対応していませんでしたが、アップデートにより対応したというのも大事なトピック。
設定はSONYのアプリ”Headphones Connect“から可能で、こちらは耳の測定を行い、耳の形状に最適化して立体的な音の広がりを再現してくれます。
360 Reality Audioでは音の定位感のはっきりした立体的な音楽を楽しむことができますが、現状はコンテンツが少なめ。国内ではAmazon Music HD、Deezer、nuges.netで順次配信予定です。
WH-1000XM4におすすめなイコライザ設定「イヤガズムエクスプロージョン」
WH-1000XM3も、WH-1000XM4も、SONYの純正アプリ”Headphones Connect“でイコライザーを設定することができるのですが、ぜひ試してみてほしい設定についてもちょこっとおまけ。
“Eargasm Explosion(イヤガズムエクスプロ―ジョン)“ってイコライザ設定なんですけど、これ、いろんなイヤフォン/ヘッドフォンを試しまくってる僕の激推し設定でして。
好き嫌いの好みがあるとはいえ、WH-1000XM4でこのイコライザーを設定するとすごく耳当たりの良い音になるんですよね。ほんとに耳が気持ちよくなるというか、なんというか、とにかく素敵な音。
Headphone Connectのイコライザー設定は少々帯域が違うので若干調整してるのですが、”WH-1000XM4″向けの設定は……
周波数 | 調整値 |
400 | +6 |
1k | +5 |
2.5k | +6 |
6.3k | +10 |
16k | +8 |
こんな感じ。好みに合わせて”CLEAR BASS”の数値を調整すると良い感じになるはずです。ほんとおすすめなのでWH-1000XM4を購入したブラザーは絶対試してみてくださいな。
※CLEAR BASSとは、SONYのイコライザー設定で同じみ低音ブースト機能のこと。大きな音量でもゆがみのない深みのある低音になります。(僕は+1に設定)
▶鬼おすすめな万能いイコライザー設定「イヤガズムエクスプロージョン」 – iyusuke
リッチな音質のWH-1000XM4、カジュアルで優れたノイキャンのWF-1000XM4
WH-1000XM4とWF-1000XM4で悩んでいる人もいるかと思うのですが、僕の印象としては…
- 【WH-1000XM4】
- WF-1000XM4よりもリッチな音質。ヘッドフォンなので長時間使用してると頭頂部が痛くなる。
- WF-1000XM4
- カジュアルに使えて、優れたノイズキャンセリングを体験できる。
- 遮音性に優れるイヤーピースのおかげで、WH-1000XM4よりも広帯域の遮音性が高い。
こんな感じ。WH-1000XM4はヘッドフォンなので長時間使用していると疲労を感じますが、音質で選ぶなら間違いないかなぁと。WF-1000XM4について気になるブラザーは以下の記事も併せてどうぞ。
▶【レビュー】WF-1000XM4は素晴らしい性能のノイキャンと極上の音質が体験できる最強のワイヤレスイヤフォン – iyusuke
WH-1000XM4のレビュー/評価まとめ
最後に、WH-1000XM4のレビューをまとめて締めといきましょう。
基本的に、WH-1000XM4は僕が期待していた通りのヘッドフォンになっていまして。音質こそ前モデルから劇的に向上してるわけじゃないですが、DSEE Extremeによるマスター音源に近い再現率、安定の高音質、ノイキャン性能の向上、鬼便利なSpeek to Chat、装着感の改善とどれを取っても最高すぎるヘッドフォン。
価格は44,000円(税込み)となかなかに高価で、購入を躊躇してしまう絶妙なラインなのですが…僕はWH-1000XM4を購入して大正解でした。現状、この音質とノイキャンによる静寂はWH-1000XM4でしか得られない体験なんですよね。
それじゃ、ささっとまとめをどうぞ。
メリット
- 安定の高音質
- 接地面が10%増加し、装着感が向上したイヤーパッド(これがほんと疲れにくいのです)
- DSEE Extreme使用時でもイコライザを変更できるようになったこと
- 音楽の停止中はタッチパネルが無効になり、音量が上がってることがなくなった
- 至高のノイキャンでどこにいても静寂の空間を作り出してくれるところ
- 新機能”Speek to Chat”が鬼便利
デメリット
- AndroidやPCが標準搭載する高音質コーデック”aptX/aptX HD”非対応
- 前モデルよりはかなり改善されたものの、長時間使用していると頭頂部から痛くなってくる(僕の場合)
WH-1000XM4のレビューまとめ
デザイン | ★★★★☆ |
装着感 | ★★★★★ |
音質 | ★★★★★ |
ノイキャン | ★★★★★ |
価格(コスパ) | ★★★★☆ |
正直、デザインにはもう少し変化が欲しかったところですがWH-1000XM3でデザインはほぼほぼ完成しているということなのかもしれませんね。
44,000円(税込み)という少々高めの価格がネックですが、ヘッドフォンは長く使えるデバイスですし、特にノイキャン性能にも優れるWH-1000XM4は”QOL(クオリティオブライフ)”の向上にも貢献してくれるので、気になるブラザーはぜひ。
もし、WH-1000XM4でハイエンドノイズキャンセリングヘッドフォンを初めて使うなら…見えてる世界が少し変わるかもよ。