今回は2020年9月4日に発売され、僕も速攻予約して購入し、毎日愛用しまくっているSONYのハイエンドノイズキャンセリングヘッドフォン「WH-1000XM4」のレビューをお届け。
前モデル"WH-1000XM3"と比べてデザイン的に大きな変化は無いですし、音の傾向/音質についても変わらないんですけど、ノイキャンは確実に性能UP。装着感が増したことで疲れにくくなりましたし、新機能"Speek to Chat"がまたいい感じかなと。
SONYのノイズキャンセリングヘッドフォン「WH-1000XM4」については語りたいことがありまくりなのですが、とにもかくにも、じっくりレビューといきましょう。
WH-1000XM4の価格は44,000円(税込み)。2025年現在はAmazonで3万円前半で購入できるので、コスパも良好。状態によるものの、中古だと2万円を切ることもあるので、音質と装着感、ちょうどいい価格を両立したヘッドホンを探していた人は良い選択肢になるかもです。
※2025/6/17 追記, 最新の情報にあわせて加筆・修正しました。ソニーの2025年の新型ヘッドホン「WH-1000XM6」については以下の記事からどうぞ。


至高の音質と静寂のノイキャン!WH-1000XM4をレビュー

詳しいレビューの前に、WH-1000XM4のデザインや性能についておさらいしておきましょう。WH-1000XM4は、ノイキャンヘッドフォンの完成系と揶揄されることもある名機"WH-1000XM3"の新型モデル。

デザイン、プロセッサー"QN1"、40mmの大口径ドライバーなんかは前モデルから同じものを継承しているのでマイナーチェンジかと思いきや...侮ることなかれ。WH-1000XM4はディープラーニング(機械学習)により機能面で大きく進化しました。


WH-1000XM4を折りたたんだ状態はWH-1000XM3に近い形状。NFCが刻印になり目立ちにくくなりました。
充電端子はUSB-C。左側ハウジングには有線接続用のステレオミニジャック、電源ボタン、状態を表すLEDインジケータ、CUSTOMボタン、そして、装着者の声を認識するためのマイクが2つ配置。
新しく2つの音声認識用マイクが搭載されたので、ノイキャン用のフィードバックマイク/フィードフォワードマイクと合わせて合計5つのマイクを搭載してます。


ブラッシュ加工が施されたメタルのアームは前モデルから変化が無いですが、"WH-1000XM4"の刻印がよりデザインに馴染むカラーに。
イヤーパッドは"装着感"にさらに磨きをかけ、前モデルと比べて10%ほど耳との接地面が増加。

左側のイヤーパッド内部には、装着状態を検知する近接センサーが搭載されていますが、この近接センサーのレスポンスがすごく良い感じ。外してすぐ停止、装着してすぐ再生してくれます。
WH-1000XM4のスペック | |
---|---|
プロセッサ | QN1 BluetoothオーディオSoC |
バッテリー(音楽再生) | 最大30時間(NC ON時) 最大38時間(NC OFF時) |
バッテリー(連続通話) | 最大24時間(NC ON時) 最大30時間(NC OFF時) |
周波数特性 | 4Hz-40,000Hz |
対応インピーダンス | 40 Ω (有線接続、POWER ON時 1 kHzにて)、16Ω(有線接続、POWER OFF時 1 kHzにて) |
音声入力端子 | 3.5mm ステレオミニジャック |
Bluetooth | Bluetooth 5.0 最大通信距離:約10m 対応BTプロトコルル:A2DP/AVRCP/HFP/HSP |
対応コーデック | SBC/AAC/LDAC |
WH-1000XM4のスペック・仕様については上記の通りなんですけど、機械学習と新しいノイズキャンセリングアルゴリズムを採用しているのが前モデルとなる”WH-1000XM3”との大きな違いかなと。
周囲のノイズを毎秒700回リアルタイム追跡することで"高いノイズキャンセリング性能"を実現したほか、自分の声に反応して音楽を停止し、周囲の音を聞きやすくする「Speek to Chat」なんかの利便性をブーストするような新機能も搭載しています。
高級感があって使いやすい収納ケースが付属する

このあたりでWH-1000XM4の付属品についてもささっと目を通しておきましょう。WH-1000XM3から引き続き高級感のあるキャリングケースが付属するのは健在。


WH-1000XM4が綺麗にすっぽり収まるようになっており、収納ケース自体に大きな変化はないですが、ストラップだったり、メッシュのポケットだったり、デザイン面では若干色が黒くなりました。
- WH-1000XM4本体
- 専用キャリングケース
- USB-Cケーブル(20cm)
- 3.5mm ステレオミニジャックケーブル
- 航空機接続用の変換アダプタ
- クイックスタートガイド
WH-1000XM4の付属品は上記のとおり。説明書は省くとして...これらの付属品すべてがケースに収まるって素敵じゃないですか? WH-1000XM4は全部ケースに入れて持ち運ぶことができます。
唯一のデメリットはaptX/aptX HD非対応
ソニー WH-1000XM4の唯一のデメリットが高音質コーデック"aptX/aptX HD"に対応しないということ。これはAndroidやPCに標準搭載されているコーデックなのですが、WH-1000XM4は対応していません。(前モデル"WH-1000XM3"は対応してた)
元々SONYが開発したコーデック"LDAC"がものすごく優れているのは分かるのですが...ユーザーの選択肢の一つとして残しておくべきだったのでは? と。WH-1000XM4以降(WH-1000XM5やWH-1000XM6も含め)はaptX/aptX HDに非対応ですが、対応しない理由については以下の記事からどうぞ。
WH-1000XM4の主な操作方法

基本的な操作はWH-1000XM3と同じなのですが、WH-1000XM4の操作方法についても改めておさらいです。
WH-1000XM4の操作方法 | |
---|---|
再生/停止 | ダブルタップ |
ボリュームアップ | 上にスワイプ |
ボリュームダウン | 下にスワイプ |
次の曲 | 前にスワイプ |
前の曲 | 後ろにスワイプ |
Speek to ChatのON/OFF | 2本指で長押し |
再生/停止、曲送りなんかは前モデルと同じ操作なので、買い替えでもスムーズに移行できるかと思うのですが、"Speek to ChatのON/OFFを切り替える方法"についてはぜひ覚えておいてほしくて。
というのも、この機能は便利な反面、反応してほしくない場面でも外音取り込みモードに切り替わってしまうんですよね。
アダプティブサウンドコントロールで最適化されるため、ほぼほぼ気になることは無いと思うのですがSpeek to Chatの切り替えは2本指で長押しって覚えておくと良き。
Speak to Chatは便利だけど僕はあまり使わなかった
次に、WH-1000XM4の機能面についても触れていこうかと思うのですが、まずは新機能「Speek to Chat」について。
Speek to Chatは、自分の声に反応して再生中の音楽を停止し、周囲の音を聞きやすくしてくれる便利機能。急に話しかけられた時って何かしらの気配を感じるじゃないですか? そんな時は「なんか言った?」みたいな感じで聞き返せばすぐに音楽が停止され、相手と会話できるようになります。
小さな声にもしっかり反応してくれるので、音楽の再生中でもスムーズに会話に移行することができます。変に誤作動することも今のところないですし、Speek to Chatはほんとに便利な機能だとは思いますが...僕はほぼ使うことが無かった。
※WH-1000XM4は、イヤーカフを手で覆うことで周囲の音を聞き取りやすくする「クイックアテンションモード」にも対応してます。
2台までの同時接続に対応

それともう一つ、機能面で新しいのは2つのデバイスとの同時接続ができるようになったということ。
マルチポイント接続をONにしていると高音質コーデック"LDAC"が無効になるため僕は常用してないのですが、そもそも、iPhoneなら"AAC"しか利用することができないので実質デメリットは無しですね。音楽再生も、通話も、接続先を切り替えることなく2つのデバイスと接続できます。
これも嬉しい人には嬉しい、そんな機能です。
WH-1000XM4の音質は伸びのいい高音質と豊かな低音が特徴

ここからはWH-1000XM4の音質や装着感についてですが、40mmの大口径ドライバーを搭載するのは同じですし、チューニングもおそらく変わらず。音質についてはWH-1000XM3からそこまで大きな変化は無いかなと。
(WH-1000XM4とWH-1000XM3でめちゃ聴き込んだんですけど、目に見えて分かる違いはありませんでした)
ノイキャンヘッドフォンの名機と謳われる先代"WH-1000XM3"と同様に伸びの良い高音域、深みのある低音域が特徴の音質になってます。強いて挙げるとすれば、音の分離感と低音域の厚みが増しているのかなぁと。
ただ、WH-1000XM4はアップスケーリング技術「DSEE Extreme」を搭載した恩恵で圧縮音源をより原音に忠実に再現できるようになっており、音質面ではこのDSEE Extremeが大きな特徴になっているのですが、リアルタイムで音楽を分析して自動的にその音楽に合ったアップスケーリングを行ってくれるようになりました。
SONYさん曰く、DSEE Extremeは高音域の補完性能が向上しており、WH-1000XM3と比べてよりハイレゾ音源に近い音の変化や広がりを再現できるとのこと。※WH-1000XM4は、DSEE ExtremeをONにした状態でもイコライザーを設定できるようになりました。
僕がWH-1000XM3とWH-1000XM4を1日ぶっ通しで聴き比べた感じでは、確かに音は違うんだけど、それが何なのかを掴めない、そんなイメージ。それくらい繊細な音をWH-1000XM4は再現してくれてます。
今まで僕が試してきたどんなイヤフォン、ヘッドフォンよりも原音に忠実で、音の分離感や立体感、深みを損なわない音。WH-1000XM4の音質を言葉で表すとこんな感じかなと。音質は素晴らしい。これは間違いなしです。
ノイキャン性能は確実に向上
音質面と言えば、外せないのが"ノイズキャンセリング"の性能なんですけど、WH-1000XM4は確実にノイキャン性能が向上していました。
WH-1000XM4を装着した瞬間に訪れる静寂。これが音楽を聴くという一点においてとんでもない効力を発揮してくれるんですよね。
前モデル"WH-1000XM3"ですでに音質/ノイキャンともにヘッドフォンのある種"到達点"に達していたと思うのですが、こいつは空調や車の音なんかの低周波数帯域は確実にシャットアウト、人の声や水の流れる音なんかの高周波数帯域のノイズもほぼほぼ聞えないレベルでシャットアウトしてくれます。(1-2mも離れればもう無音)
僕の仕事部屋にはでっかい水槽が置いてあるので、水の流れる音だったり、水を循環させるモーターの音だったり、空調だったり、割と"音" は多く混在している環境なのですが、WH-1000XM4はほぼ無音に近い静寂の空間を作ってくれるので、音楽に没頭できるというわけ。
キーボードのタイピング音や人の声は分厚いフィルターを挟み込んだように少ーしだけ聞こえますが、一般的な騒音はほぼ聞えなくなるので、外出時は外音取り込みモード推奨です。
装着感は安定の快適さ。ほかのヘッドホンとは一味違う

音楽を楽しく聴くためには"装着感"も重要なファクターですが、WH-1000XM4は装着感にもしっかりコミットしており、快適さを追求して設計から徹底的に見直したとのこと。
なんでも、イヤーパッドの縫い目は耳に当たると硬く感じてしまうとのことで、より奥まった位置に配置されたそうです。

WH-1000XM4のイヤーパッドはふわっふわで。WH-1000XM3と比較して10%ほど耳との接地面が増加したため、側頭部にかかる圧力が均等になり、長時間装着していても疲れにくいよう改善。

装着感の向上については確かにその通りで、僕はこの記事を書いている間もずっとWH-1000XM4を装着して音楽を聴いたり、静寂を楽しんだりしているのですが、全く疲れなくなりました。
(イヤーパッドの密着具合も上がっているので、汗ばむとムレを感じ、ちょいちょい外すことはありますが...疲れにくいことは確か)
WH-1000XM3の時も気に入って毎日愛用してたんですけど、僕の頭の形との相性が少々悪いのか、すぐ頭頂部が痛くなっていましたが、WH-1000XM4はそれも無し。良いヘッドホン。
360 Realty Audioで立体音響にも対応

WH-1000XM4はリリース当初360度オーディオに対応していませんでしたが、アップデートにより対応。設定はSONYのアプリ"Headphones Connect"から可能で、こちらは耳の測定を行い、耳の形状に最適化して立体的な音の広がりを再現してくれます。

360 Reality Audioでは音の定位感のはっきりした立体的な音楽を楽しむことができますが、現状はコンテンツが少なめ。国内ではAmazon Music HD、Deezer、nuges.netで順次配信予定です。2025年現在はコンテンツも豊富になっていますが、個人的にその他の音楽ストリーミングサービスのほうが魅力的に感じるので使用頻度は少ない。
WH-1000XM4におすすめなイコライザ設定「イヤガズムエクスプロージョン」

WH-1000XM3も、WH-1000XM4も、SONYの純正アプリ"Sound Connect"でイコライザーを設定することができるのですが、ぜひ試してみてほしい設定についてもちょこっとおまけ。
知る人ぞ知る「Eargasm Explosion(イヤガズムエクスプロ―ジョン)」ってイコライザ設定なんですけど、これ、いろんなイヤフォン/ヘッドフォンを試しまくってる僕の激推し設定なんです。
好き嫌いの好みがあるとはいえ、WH-1000XM4でこのイコライザーを設定するとすごく耳当たりの良い音になるんですよね。ほんとに耳が気持ちよくなるというか、なんというか、とにかく素敵な音。
WH-1000XM4のおすすめイコライザ設定 | |
---|---|
周波数 | 調整値 |
400 | +6 |
1k | +5 |
2.5k | +6 |
6.3k | +10 |
16k | +8 |
Headphone Connectのイコライザー設定は少々帯域が違うので若干調整してるのですが、"WH-1000XM4"向けの設定は上記の通り。
好みに合わせて"CLEAR BASS"の数値を調整すると良い感じになるはずです。ほんとおすすめなのでWH-1000XM4を購入したブラザーは絶対試してみてください。※CLEAR BASSとは、SONYのイコライザー設定で同じみ低音ブースト機能のこと。大きな音量でもゆがみのない深みのある低音になります。(僕は+1に設定)
WH-1000XM4のレビューまとめ!型落ちだからこそ、得られる体験とちょうどいい価格のアンバランスが魅力

基本的に、WH-1000XM4は僕が期待していた通りのヘッドフォンになっていて、音質こそ前モデルから劇的に向上してるわけじゃないですが、DSEE Extremeによるマスター音源に近い再現率、安定の高音質、ノイキャン性能の向上、鬼便利なSpeek to Chat、装着感の改善とどれを取っても最高すぎるヘッドフォン。
価格は44,000円(税込み)となかなかに高価で、購入を躊躇してしまう絶妙なラインなのですが、2025年現在は3万円前半で購入可能になっており、コスパはかなり良好です。この価格で新品が手に入るのは、型落ちだからこその魅力です。

WH-1000XM4 レビュー&評価
2025年現在も現役で使える良いヘッドホン。
メリット
- 安定の高音質
- 接地面が10%増加し、装着感が向上したイヤーパッド(これがほんと疲れにくいのです)
- DSEE Extreme使用時でもイコライザを変更できるようになったこと
- 音楽の停止中はタッチパネルが無効になり、音量が上がってることがなくなった
- 至高のノイキャンでどこにいても静寂の空間を作り出してくれるところ
- 2025年現在3万円前半で買えるコスパ
デメリット
- AndroidやPCが標準搭載する高音質コーデック"aptX/aptX HD"非対応
- 前モデルよりはかなり改善されたものの、長時間使用していると頭頂部から痛くなってくる(僕の場合)
音質 | |
機能 | |
装着感 | |
デザイン | |
コスパ | |
総合評価 |
※レビューの評価基準についてはこちら。
正直、デザインにはもう少し変化が欲しかったところですがWH-1000XM3でデザインはほぼほぼ完成しているということなのかもしれませんね。
ヘッドフォンは長く使えるデバイスですし、特にノイキャン性能にも優れるWH-1000XM4は”QOL(クオリティオブライフ)”の向上にも貢献してくれるので、買いやすい価格で音質よくて、装着感も良いヘッドホン探してる...って人は、型落ちとはいえ、WH-1000XM4がすごく良い選択肢になるかと思います。
もし、WH-1000XM4でハイエンドノイズキャンセリングヘッドフォンを初めて使うなら...見えてる世界が少し変わるかもよ。