今回はAppleの”Siri”を搭載するコンパクトなスマートスピーカー「HomePod mini」のレビューです。
“mini”をその名に冠する通り、このスピーカーはAppleの高級スピーカーHomePodの廉価版にあたるモデルで。廉価版と言ってもしっかり音質にコミット&しっかり360°オーディオにも対応。
HomePodにあってHomePod miniに無いのは”空間認識機能”と”Apple TV 4kを使ったホームシアターシステム”くらいで、高偏位ウーファーと7つものツイーターは搭載していないですが、この小さなボディからは考えられないほどにド迫力な”音”を聴かせてくれます。
正直なところ、Alexaほどの柔軟性と賢さはSiriにありません。でも、この価格でこの音質、そしてApple製品との連携はHomePod miniだからこそ。早速レビューといきましょう。
▶今から始める”Echo(第4世代)”、Alexaが優秀すぎで音質も良き – iyusuke
HomePod miniをレビュー。使用感や音質をじっくり試してみた
さて、まずは”HomePod mini”を開封しつつ、デザインや機能についてチェックしていきましょう。HomePod miniは84.3×97.9mmと非常にコンパクトなサイズなので、パッケージもミニ。
重さは見た目よりは思い345gなんですけど、手に持った時に重く感じることは無いですし、同じポジションに居座るタイプのスピーカーなのでこのあたりは気にならないかなと。
パッケージをパカッと。シンプルながらも開けやすいAppleらしいパッケージに入っています。
HomePod miniの付属品はこんな感じで。HomePod mini本体、USB-C電源アダプタ(20W)、Appleロゴのステッカーとクイックスタートガイドが同梱されています。
HomePod miniのケーブルは取り外し出来ないので、そのあたりはご注意を。ただ、ケーブルは手に取ってすぐ分かるくらいに剛性の高そうな感じになっていまして。(ケーブルの長さは1.4mほど)
ケーブルは硬めのメッシュで包まれているため、断線したりする心配はなさそうですね。
本体から取り外し出来ないのは少々不便ですが、しっかりした作りで安心できるかなぁと。付属するUSB-Cの電源アダプタはUSB-PD対応で出力は”20W”となっています。
HomePod miniのデザインを眺める
それでは、このあたりで”HomePod mini”のデザインチェックと行きましょう。手に持った時のサイズ感はリンゴくらいの大きさになっており、非常にコンパクト。
分かりやすいようにもう少し別の角度から見てみるとこんな感じで。音質については後述しようと思っているのですが、この小さなボディからあのド迫力な音を聴かせてくれるとは…。
(正直、ちょっと舐めてました。ごめんなさい)
どの角度から見てみてもほぼ”球体”。サイズもコンパクトですし、コンパクトで、丸っこくて、可愛いボディはどんな部屋、シーンにも合うと思いますよ。
HomePod miniの大きな特徴として、タッチ操作ができるパネル”タッチサーフェス”が上面に搭載されているのですが、ゆらゆらと動くライティングもとても良くて。
- タップ – 音楽またはSiriを再生/停止
- ダブルタップ – 次の曲にスキップ
- トリプルタップ – 前の曲にスキップ
- 長押し – Siriを起動
- 「+」または「-」 – 音量の調節
HomePod miniの操作方法は上記の通りなんですけど、上面タップの再生/停止、ボリューム調整(-/+)のレスポンスもGood。
タッチサーフェスの長押しで手動でSiriを起動することも出来るのですが…スペースグレイモデルは操作した後の指紋が結構気になるので、ホワイトモデルの方が指紋は見えにくいかもですね。
次に、HomePod miniのボディを包むメッシュについてなんですけど、これが結構良い手触りで。繋ぎ目も一切ないですし、幾重にも重なったメッシュは高級感があると思いません?
指で押し込んでみると形が崩れてしまうこともない”程よい硬さ”を備えているのに、手触りはソフト。
HomePodの背面からはケーブルが出ているのですが、これはユーザーが自由に取り外すことはできません。とはいえ、ケーブル自体が頑丈に作られていそうですし、断線したり、故障してしまうリスクは少ないかもしれませんね。(ケーブルの根本もめちゃがっちり)
参考までに、HomePodのケーブルの修理費は3,000円ほどなので、万が一HomePod miniのケーブルが断線してしまったとしてもこれくらいの価格で修理できるかと。
最後にHomePod miniの背面。どどんと主張するAppleロゴがあるくらいで、特に触れるようなところはないのですが、なんでも、HomePodの時は滑り止めの素材がテーブル(木材)に”丸い跡”を付けてしまうことがあったようで。HomePod miniではそういった報告はないみたいなのでしっかり改良されたみたいですね。
そうそう、HomePod miniが実際にどれくらいのサイズなのか? って気になるかと思うのですが、Apple公式HPでは”AR”を使って部屋に置いた時のイメージが出来るようになっているので、気になるブラザーはiPhoneまたはiPadでお試しあれ。
HomePod miniのスペック・仕様
せっかくなので、HomePod miniのスペックや仕様についてもおさらいしておきましょう。
基本的に、HomePod miniはHomePodの廉価版という認識でOKなのですが、価格と性能と音質のバランス、小さいボディ、取り回しの良さなど、しっかりHomePodとの差別化も出来ている印象です。
サイズ | 84.3×97.9mm 345g |
チップ | Apple S5 |
オーディオ | 深みのある低音域とクリアな高周波数を再現するフルレンジドライバとデュアルパッシブラジエータ 360°オーディオ |
マイク | 離れた場所でSiriに対応する4つのマイク |
タッチサーフェス(タッチパネル) | 音楽またはSiriの再生/停止、次の曲へ/前の曲へ、Siriの起動、音量の調整 |
ワイヤレス | 802.11n Wi-Fi Bluetooth 5.0 Thread 近接デバイスを認識する超広帯域チップ |
その他 | ステレオペアに対応(HomePod mini同士のみ) インターコム機能 スマートホームのハブとしての機能 |
HomePod miniのオーディオソースとしては、Apple Music、iTunesで購入した音楽、iCloudミュージックライブラリ、Apple Music Radioまたはオンデマンドのエピソード、TuneInのラジオステーション、Apple Podcastに対応するほか、iPhone/iPad/iPod Touch/Apple TV/MacからHomePod miniにAirPlayでストリーミングしたコンテンツが再生可能です。
僕は積極的に利用していないですが、スマートホームのハブとしてもしっかり機能するため、例えば「Hey Siri、家を温かくして」とか「Hey Siri、玄関の鍵はかかってる?」とか「Hey Siri、電気付けて」とか、スマートホームアプリで一括して管理することもできますよ。
当然、ちょっとしたことを尋ねたり、アラームを設定したり、予定をチェックしたり…Siriに出来ることならなんでもお願いすることが出来ます。
iPhoneとの親和性が抜群
HomePod miniはiPhoneかざすだけで音楽を飛ばせるのも便利。ありがたみを感じる。 pic.twitter.com/8ZbOWf3cT7
— iyusuke (@iyusukejp) December 15, 2020
HomePod miniはApple製品との連携に強いというのも大きなトピックで。地味にありがたみを感じるのが”iPhoneをかざすだけで音楽を飛ばせる、引き継げる“ってこと。
振りかざすような動作でiPhoneをHome Pod miniの上にかざせば、スッと音楽が切り替わるんですよね。たまーにあるじゃないですか。声に出して言うよりも聞きたいアルバム(名前が難しいとか)をピンポイントで再生したい時って。
そういった時に役立つ便利な機能ですし、HomePod miniからiPhoneに音楽を引き継ぐこともできるので、外出する時にHomePodで聞いていた音楽やポッドキャストをそのままiPhoneで再生して…みたいなこともできますよ。Good。
HomePodの接続も恐ろしく簡単で。HomePod miniを箱から取り出し、電源ケーブルで接続したら自分のiPhoneにポップアップが出るので、タップして設定するだけ。
Wi-Fiなんかの入力もiPhoneと同じものが自動で適用されますし、iCloudの連携も勝手にiPhoneと同期してくれるので、煩わしいパスワードの入力もありません。ほんとめっちゃ簡単。これはAppleの”HomePod mini”ならではですね。
そうそう、それとHomePodの設定は”スマートホームアプリ”からになるのですが、こちらも使い方は非常にシンプル。(スマートホーム製品との連携もここで管理します)
HomePodのアイコンを長押しすれば設定画面が開き、ここでHomePod miniの細かい設定などを変更することが可能です。
設定項目にある”パーソナルリクエスト”は、メッセージの送信/読み上げをしてくれたり、メモを声で作成できたり、非常に便利な機能なのでぜひONにしておきましょう。
海外ではすでに対応している”声を判別する機能”にはまだ対応していないので…日本でも早く対応してくれれば!
また、別のHomePodやApple製品と連携してコミュニケーションができる”インターコム”も魅力的な機能の1つなのですが、独り身の僕には関係ナッシング。悲しみ。
プライバシーに強い
HomePodと言えば、他社よりも圧倒的に”プライバシー”にコミットした姿勢も大きな特徴の一つ。HomePodが聞き取るのは「Hey Siri」から始まる言葉だけで、その他の状況でした会話は一切記録されません。
Siriに何かを訪ねてもそのリクエストはランダムな識別子と関連付けられ、そのすべてはデバイス上に保存され、情報をAppleに知られることが無いんですよね。Alexaなんかは寄り添いすぎてめっちゃ情報出てる気がしなくもないので、プライバシーの強固さはHomePod miniの魅力のうちの1つです。
HomePod miniは聴く能力、ヒアリングも強い
HomePod miniは、”Hey Siri”を正確に聞き分けるため、4つのマイクを搭載していまして。ヒアリング能力が非常に高いというのも忘れてはいけない大事なトピック。
これは本当に優秀で、大きな音で音楽を再生していても、多少離れた場所からでも、しっかり”Hey Siri”に反応して応えてくれるんですよね。
これはAmazonのスマートスピーカー“Echo”シリーズよりも確実に優れているなぁとひしひしと実感しています。(第4世代Echoのヒアリング能力が低いからよりそう感じるのかもですが)
近くのiPhoneも反応する時があるのですが、どうやら優先順位的なものが設けられているらしくて。しっかり空気を読むiPhoneの”Siri”たん。HomePod miniのヒアリング能力は本当に素晴らしいので、これは他のスマートスピーカーには無い大きな魅力ですよ、ブラザー。
HomePod miniの音質は「この小さなボディからどうやってこんな音出してんの?」って感じ
HomePod mini。この小さくて丸っこいボディからこんな素敵な音が出るとは…完全に舐めてた。
— iyusuke (@iyusukejp) December 15, 2020
Music: Doctor Vox – Frontier pic.twitter.com/EBP4onMAct
ここからはHomePod miniの音質についてレビュー。
HomePod miniの音質を一言で表すとすれば…「みぞおちにまで響くほどの迫力の音質」これに尽きるのですが、この小さくて丸っこくて可愛いボディのどこからこんな音を鳴らしているのか、と。少々不安になるほどに想像より遥かに良い音が出ます。
その力の源は高出力のフルレンジドライバとデュアルパッシブラジエータによるものなのですが、S5チップの処理性能も相まって、同価格帯のスピーカーと比較してもワンランクは間違いなく上。
HomePodの廉価モデルとはいえ、しっかりその音響特性が生かされていまして。HomePod miniは”360°オーディオ”に対応しているのですが、その構造を見ても分かる通り、スピーカーから出た音は底部へと移動し、空間的な響きを持たせつつ周囲に音が広がっていくんですよね。
底部にウーファーと拡散版、そして側面にはフルレンジドライバを搭載しているのですが、結構な音質厨の僕ですら納得の音。高音域もクリアでしっかり伸びていますし、中音域のこもった感じも無し。
低音域はデスクを震わせるほどに響いてくれるのですが、驚きなのがどの音量で聞いても音の解像感が乱れないってこと。音量を絞ってもしっかり低音と高音は分離して明瞭な音質で聞けますし、大音量で再生しても高音域の嫌な”鳴り”もないのです。(しかも、どっから鳴ってんねんってくらい大きな音が出ます)
しっかり360°オーディオで、音質良くて、丸っこくて、これで1,0800円。素敵すぎる。
iPhoneからの音楽転送が鬱陶しく感じる時もある
非常に便利なHomePod miniのiPhoneからの音楽転送機能ですが、長く愛用しているとこれが鬱陶しく感じる場面もちらほら。
というのも、反応が良すぎてHomePod miniの近くにiPhoneを置いたり、HomePod miniの近くでiPhoneを操作していると勝手に反応してiPhoneの画面にポップアップが表示されるのです。
(いちいち画面をタップしてポップアップを消すのが煩わしくて)
なので…僕は最近HomePod miniの音楽転送機能はオフにして利用しているのですが、きっと同じように感じる人もいるかもなのでHomePodの音楽転送機能をオフにする方法を少しだけおさらいです。
HomePodへの音楽転送はiPhoneの”設定”から変更可能で、設定は「設定 > 一般 > AirPlayとHandoff」から。”HomePodに転送”をオフにすればOKです。
2台目が欲しくなる
HomePod miniに搭載される”Siri”が少々おバカってのはもう仕方がないですし、プロダクト自体のデメリットではないのでアップデートで賢くなることに期待しまして。
(AlexaとSiriだと出来ることが全然違うくて。たどたどしい日本語もSiriの魅力ではあるのですが、もう一声! みたいな。改めてAlexaの優秀さを実感しました)
発売日からがっつりHomePod miniを愛用しているのですが、ぶっちゃけ気になるところってのはほんとに無いんですよね。強いて挙げるとすれば…もう1台HomePod miniが欲しくなっちゃうってことくらい。
HomePod miniは2台揃えると”ステレオペア”を組んで音楽を再生できるのですが、この音質でステレオ再生ってどんだけ良さそうなんだ…って、そう思っちゃうのです。
もう一台追加購入しようと思っているので、HomePod miniのステレオペアについては別記事でがっつり検証しますよ! ほんと、2台のHomePod miniのシンフォニーが気になって仕方ない。
HomePod miniのレビューまとめ!価格も丁度良くて、音質も素敵なスピーカー
とまぁこんな感じで。あまりにも気に入りすぎて少々長めの記事になってしまったし、日も跨いで深夜の更新になってしまったのですが…僕が言いたいことはひとつだけ。
「HomePod miniは音楽体験をさらなる高みに引き上げてくれる、そんなスピーカー」です。
もちろん、オーディオアンプでがっつりリスニング環境を組んでいるとどうしても音の厚みや音源の忠実度など、気になるところはあるかもしれません。でも、スマートで、丸っこくて、1万円と少しで買えて、そしてこの音質。スピーカー持ってないなぁってブラザーには全力でおすすめしたいプロダクトかなぁと。
それじゃ、最後にHomePod miniの僕のレビューをまとめて終わりにしましょう!
HomePod miniのメリット
- コンパクトで可愛いボディ
- 迫力の音質で、キラキラした高音域と厚みのある低音域
- iPhoneとの連携が抜群(iPhoneをHomePodにかざすだけで音楽を飛ばせる)
- めっちゃ聞き取ってくれるヒアリング能力の高さ
- 圧倒的価格と性能と音質のバランス
HomePod miniのデメリット
- Siriが少々おバカなこと
- iPhoneからの音楽転送が鬱陶しく感じる時がある(設定からオフにできます)
HomePod miniのレビュー/評価まとめ
音質 | ★★★★★+ |
デザイン | ★★★★★ |
機能 | ★★★★☆ |
賢さ(Siri) | ★★★☆☆ |
ヒアリング能力 | ★★★★★ |
価格(コスパ) | ★★★★★+ |
HomePod miniの音質と価格については文句なしMAX評価。Siriの賢さが若干尾を引いてしまってはいるのですが…Apple製品とのAirPlayやインターコム、ステレオペア、直感的に操作できるタッチサーフェスの操作性など、機能面でも十分です。
HomePod miniの価格は14,800円+税。この価格でこの音楽体験は…めちゃ良いスピーカーというのは間違いないですけどね。いろんなオーディオ製品を試してきた僕のお墨付き。”音質”で選ぶなら、HomePod miniがおすすめです。
え? 気になるって? 今すぐポチっといっちゃいましょう!