3万円台で買えるならBeats Studio Pro。それ以外はAirPods Max。
この価格帯だと”ほぼ”搭載していて当然だと思っていた自動装着検知がなかったり、H1チップを搭載していないため、Apple製品とのシームレスな接続&切り替えができなかったり、ヘビーユースしてると思うところもチラホラある「Beats Studio Pro」。
Beatsらしいデザインはやっぱりかっこいいし、装着感や音質も良好。なんなら有線でハイレゾ音源も再生できちゃうBeats Studio Proですが、さらに価格の高いApple純正ヘッドホン「AirPods Max」とどっちを買おうかな?って人もいるかもなので、今回はAirPods MaxとBeats Studio Proの使用感や機能、音質の違いについて比較です。
セール時に買えるならBeats Studio Proは良い選択肢になるかもですが、価格を考えると不満点も多いので、僕としてはAirPods Maxをおすすめしたい。(特にiPhoneやiPad、Macを一緒に使ってる人はなおさら)
※2025/5/15 追記, 最新の情報にあわせて加筆修正しました。現行モデルのAirPods Maxは充電端子がUSB Type-Cになり、Beats Studio Proの一部のカラーは4万円を切ることが多くなってきました。3万円台で買えるなら、Beats Studio Proはコスパ良い。


AirPods MaxとBeats Studio Proのどっちを買うべきか悩んでる?音質や使用感を比較しながら用途を考えてみよう

AirPods Maxは、ドライバーや空間オーディオ、ノイズキャンセリングなど、Appleの最新技術が詰め込まれたヘッドホン。
対して、Beats Studio Proは、Beatsのトラディショナルなデザインを踏襲し、装着感や音質がアップグレードされたBeatsの最新ヘッドホン。
スペックの比較 | ||
---|---|---|
AirPods Max | Beats Studio Pro | |
サイズ | 187.3×168.6×83.4mm 384.8g | 181×178×78mm 260g |
形状 | オーバーイヤー型 | オーバーイヤー型 |
ドライバー | 40mm ダイナミックドライバー | 40mm ダイナミックドライバー |
接続 | Class1 Bluetooth Lightningオーディオ(有線) | Class1 Bluetooth USB-Cオーディオ(有線) 3.5mmアナログ入力(有線) |
Bluetooth互換性 | Bluetooth 5.0 | Bluetooth 5.3 |
再生時間 | 最大20時間 | 最大40時間 |
H1チップ | 〇 | × |
Androidとの連携 | × | 〇 |
自動装着検知 | 〇 | × |
発売日 | 2020年12月15日 | 2023年8月9日 |
価格 | 84,800円(税込み) | 49,800円(税込み) |
AirPods MaxとBeats Studio Proのスペックを比較してみると上記の通りなのですが、性能は異なるものの...いずれもノイズキャンセリングと外音取り込みモード、空間オーディオに対応しています。
(Beats Studio ProはAndroidスマホとのワンタッチペアリングにも対応してる)
AirPods MaxとBeats Studio Proは、価格はもちろんのこと、電池持ちや重さ、使用感、音質など様々な点が異なりますが、最も大きな違いは、Beats Studio Proは装着の自動検知機能を搭載しておらず、Apple傘下なのにApple製品とのシームレスな接続&切り替えができないところ。
Beats Studio Proの前モデルとなるBeats Studio3 Wirelessは、W1チップによるApple製品とのシームレスな接続&切り替えに対応していました。どちらかというとここ最近のBeatsはAndroidユーザーもかなり意識している模様。
価格(定価)は、AirPods Maxが84,800円、Beats Studio Proが49,800円となっており、価格差は35,000円。最近はAmazonなどのセールでいずれも1万円ほど安く購入できることもありますが、実際の使用感や音質、機能の違いについて気になってる人も多いんじゃないかなと。
- デザインと装着感
- 音質
- ノイキャン性能
- 自動装着検知の有無
- Apple製品とのシームレスな連携の違い
- Androidスマホとの連携機能の違い
- 有線によるハイレゾ音源の再生
- 価格
AirPods MaxとBeats Studio Proの主な違いは上記のとおり。
ここからはデザインや機能、音質の違いについてダダっと比較していきますが、AirPods MaxとBeats Studio Proについてもっと詳しく知りたい...って人は、それぞれ音質や機能、使用感について詳しくレビューしているので、以下の記事もぜひ参考にどうぞ。
デザインはBeats Studio Pro。装着感はAirPods Maxのほうが好き

ぱっと見ても分かる通り、AirPods MaxとBeats Studio Proのデザインは全然違っていて、AirPods Maxはどちらかというとモダンで折りたためないデザイン。
Beats Studio ProはトラディショナルなBeatsのデザインを採用していて、折り畳んでコンパクトに持ち運ぶこともできます。


サイズと重さはAirPods Maxのほうが大きく、重い。持ち運ぶのにも、装着するにも、結構な存在感を感じるので、このあたりはBeats Studio Proが優秀です。
(口述しますが、AirPods Maxは折りたためないので、どうしてもかさばる)

AirPods MaxもBeats Studio Proも端子は右側イヤーカフに搭載。AirPods MaxがLightning端子。Beats Studio ProはUSB Type-C端子を搭載しており、汎用性が高いのもBeats Studio Pro。
※現行モデルのAirPods MaxはUSB Type-C端子を搭載してます。


操作方法についても違いがあり、AirPods MaxはApple Watchの”デジタルクラウン”のようにボタンを押して再生/停止/曲送りしたり、音量調整。
Beats Studio ProはこれまでのBeatsシリーズのヘッドホンと同様に「左側のイヤーカフに搭載されているBeatsボタン」を押して再生/停止/曲送りしたり、操作領域になっているBeatsロゴ周辺を押して音量調整できるのですが、慣れ親しんだ一般的な操作感で触れるのはBeats Studio Proですね。
主な操作方法の違い | ||
---|---|---|
AirPods Max | Beats Studio Pro | |
音楽の再生/停止 電話の応答 | デジタルクラウンを1回押す | Beatsボタンを1回押す |
音量調整 | デジタルクラウンを回す | 音量調整ボタン |
次の曲へ | デジタルクラウンを2回押す | Beatsボタンを2回押す |
前の曲へ | デジタルクラウンを3回押す | Beatsボタンを3回押す |
ノイキャン/外音取り込み の切り替え | ノイズコントロールボタン を1回押す | 電源ボタンを2回押す |
電源のON/OFF | 自動 | 電源ボタンを1秒長押し |
ペアリング | ノイズコントロールボタン 長押し | 電源ボタンを3秒長押し |
AirPods MaxとBeats Studio Proの操作方法を比較してみると上記の通り。
AirPods Maxは、ケースに収納する、または取り出すことで自動で電源をON/OFFする仕様になっているため、一度ペアリングしてしまえばBeats Studio Proのように毎回電源を入れなくていいのは大きなメリット。
具体的な仕様について知りたい人は、AirPods Maxの低電力モードとリセットする方法についての記事もぜひ参考に。
Beats Studio ProよりAirPods Maxのほうがより快適に装着できる


お次は装着感の違いについてですが、装着感はAirPods MaxもBeats Studio Proも快適。
いずれも長時間の装着でも疲れにくい装着感になっていますが、疲れにくさと快適さでは、メッシュ生地のイヤークッションを採用しているAirPods Maxが秀逸かなと。
Beats Studio Proは、イヤーパッドに繋ぎ目の無いシームレス設計のレザーを採用し、クッションもブラッシュアップされたため、装着感は前モデルよりもグッと良くなっているものの...どうしてもムレを感じるし、ぴたっとした感触が苦手な人もいるかもしれません。


ちなみに、AirPods Maxのヘアバンドにもメッシュが採用されていて、Beats Studio Proよりも頭頂部が痛くなりにくいのですが、汚れやすい&へたりやすくて...僕はあまり好きじゃない。これはAirPods Maxの良くないところ。
AirPods Maxは、純正パーツとして「交換用イヤーパッド」が単品販売されていますが、ヘッドバンドは自分で交換不可。メッシュのヘッドバンドは装着感に優れますが、決して安くはない価格なので、もう少し耐久性が欲しかったかも。ガチですぐヘタる。
AirPods Maxの収納ケースはかさばるけど慣れれば問題ない

AirPods MaxとBeats Studio Proで大きく異なるのは収納ケース。AirPods Maxは折りたためないデザインで、イヤーカフのみを収納ケースで包み込むようなスタイル。
Beats Studio Proは折りたたんで収納ケースに入れられますが、AirPods Maxはそのままのサイズで持ち運ぶしなかいため、日常的に持ち運ぶとなるとかさばるものの...慣れればあまり気にならなくなるので、収納ケースの違いについては気にしなくてもいいかも。
Beats Studio Proもせっかく折りたたんで持ち運べるのに、収納ケース自体が窮屈で少し収納しにくいので、これはどっちもどっちです。
AirPods MaxとBeats Studio Proの音質を比較してみる


さてさて、ここからはAirPods MaxとBeats Studio Proの音質の違いについて比較です。
AirPods MaxとBeats Studio Proの音質を比較するために視聴したのはいつものプレイリストで、コーデックはAAC。空間オーディオOFF、ノイキャンON。iPhone 15と接続してダダっと比較していこうかと思うので、音質の違いが気になる人はぜひ参考に。
AirPods MaxとBeats Studio Proの音質を比較してみると、どちらもかなり原音に忠実と言っていい音質ですが、低音域~高音域にかけてムラなく綺麗に鳴ってくれるのはAirPods Max。
Beats Studio Proは二重構造の振動版と強化されたマグネットにより、歪みをほぼゼロに低減しているため、とてもナチュラルでバランスに優れた音質です。(Beats Studio Proのほうが音圧は控えめ)
宇多田ヒカルのtravelingを聴いてみると音質の違いが分かりやすかったのですが、AirPods Maxのほうがより高音域の再現性が高いので、ボーカルや楽器の”音のニュアンス”なんかを感じ取りやすいかなと。
Beats Studio ProはAirPods Maxよりも音の歪みがないので、音圧は少し控えめですが、ボーカルもシンセも楽器もすごく澄んでいるイメージ。
あくまでも僕が視聴して比較した意見ですが...価格が倍近く違うAirPods MaxにBeats Studio Proの音質が肉薄しているのはすごいし、セール時に3万円台で購入できることを考えると、音質は抜群以上。

Beats Studio Proはデジタル/アナログコンバータ(DAC)を内蔵しており、USB-C接続によるロスレスオーディオに対応するため、有線接続でロスレス音源を聴くと”音の情報量”がグッと増し、音の解像度と高音域の再現がさらに良くなるため、ロスレス音源かつ有線接続時の音質はBeats Studio Proがおすすめです。
ただ、Beats Studio Proに付属するUSB Cケーブルは硬くて取り回しが悪いので、有線でロスレス音源を楽しむ場合は別途USB-Cケーブルを購入したほうがいいかもしれません。
AirPods Maxも有線接続には対応しますが、初期モデルはロスレス音源に非対応。
現行モデルはBeats Studio Proと同様にUSB Type-C接続時にロスレス音源に対応します。初期モデルはLightning端子がロスレス音源対応の枷になっていたのかも。
AirPods MaxとBeats Stuido Proの音質を周波数特性の違いについて


せっかくなので、AirPods MaxとBeats Studio Proの周波数特性の違いについても簡単に比較。いずれもBluetooth接続時に計測した周波数特性のデータですが、200Hz以下と6KHz以降の周波数特性に明確な違いがあり、低音~高音域にかけてバランス良き聴けるのはAirPods Max。
Beats Studio ProはこれまでのBeatsシリーズのヘッドホンと比べて低音域が控えめになっていて、おそらく、これは大幅に低減した”歪み”とのトレードオフ。音の傾向としては、やや低音強めな音質がAirPods Max。フラット寄りな音質がBeats Studio Proと考えておくといいかもです。どちらも聴覚的にはフラットに近い音質。
僕がレビューで使う周波数特性の計測方法についてはレビューの評価基準のページからどうぞ。
周波数特性とは、入力電圧を一定にした状態で周波数を変化させた時に出力される音圧がどのように変化するかを表したもの。グラフの見方としては、ざっくり200Hz以下が低音域、200Hz~700Hzが中低音域、700Hz~3KHzが中高音域、3KHz~7KHzが高音域、7KHz以上が超高音域。環境や機器で計測結果は異なるため参考程度に。
ノイキャン性能や装着検知など、トータルの使用感で選ぶなら圧倒的にAirPods Maxがおすすめ

ノイキャン性能や外音取り込みモード、自動装着検知機能など、トータルな使用感は圧倒的にAirPods Maxで、Beats Studio Proは自動装着検知機能と”H1チップ”を搭載していないため、Apple製品と接続したときのシームレスな切り替えが使えないのが惜しいところ。
自動検知機能に慣れていると、視聴後に毎回音楽を自分で止めて、しばらく使わない時は電源を切って...という流れが煩わしく感じてしまうので、定価49,800円という価格を考えるとBeats Studio Proのこの煩わしさは致命的です。AirPodsに慣れてると”煩わしさ”を顕著に感じる。
ノイキャンの性能や空間オーディオに関しては、AirPods MaxとBeats Studio Proで大差はないですが、iPhoneやiPad、Macとペアリングして使うなら、一番便利な機能である「自動装着検知」と「H1チップによるシームレスな接続&切り替え」をわざわざ捨てる必要はないので、全体的な使用感で選ぶなら「AirPods Max」のほうが絶対に良いし、おすすめです。
初期型のAirPods MaxはレガシーなLightning端子を搭載しているため、中古での購入を検討している人もなるべく...いや、ガチで「現行モデルのAirPods Max」をおすすめします。


予算が許すならAirPods Max。3万円台で買えるならBeats Studio Proがおすすめ

AirPods MaxとBeats Studio Proの音質や使用感の違いについて比較してきましたが、最後に簡単なまとめ。
サイズ感の違いに関しては”慣れ”でどうにかなると思うので、あまり気にならないとして...やっぱり大きな違いは価格と自動装着検知機能の有無、それとH1チップの有無になるのかなと。(僕はどっちのデザインも好き)
音質はUSB Type-C接続によるロスレス音源の再生も含めてBeats Studio Proがものすごく優秀ですが、見過ごせないでデメリットは自動装着検知とH1チップを搭載しないところです。結構なお値段するのにこれがだいぶ足引っ張ってる。
AirPods MaxとBeats Studio Proの比較まとめ

AirPods Max
予算が許すなら最適解。
メリット
- 現行モデルはUSB-C搭載で、ロスレス音源対応
- トップクラスの音質
- モダンなデザイン
デメリット
- 価格が高い
- ヘッドバンドがすぐヘタる
- 重くてゴツいのでかさばる
音質 | |
機能 | |
装着感 | |
デザイン | |
コスパ | |
総合評価 |
※レビューの評価基準についてはこちら。

Beats Studuio Pro
3万円台ならあり。
メリット
- Beatsらしいデザイン
- 軽くて持ち運び安い
- AirPods Maxに迫る音質
- ロスレス音源対応
デメリット
- 自動装着検知非対応
- H1チップ日搭載で、Apple製品とのシームレスな切り替えができない
- 性能を考えると高めの定価
音質 | |
機能 | |
装着感 | |
デザイン | |
コスパ | |
総合評価 |
※レビューの評価基準についてはこちら。
僕が確認している限りでは、Amazonのセール時でBeats Studio Proが最安36,891円。
AirPods Maxが最安73,200円で購入できるので、3万円~4万円以内で購入出来て、自動装着検知やApple製品とのシームレスな接続&切り替えが出来なくても問題ないならBeats Studio Pro。
予算に問題が無くて、Apple製品で環境を整えてて、良い音質で音楽を聴きたい...って人にはAirPods Maxがおすすめかなと。やっぱりApple製品感のシームレスな接続&切り替えは、ある程度の価格差があったとしても捨てがたいです。
個人的に、AirPods MaxとBeats Studio Proのどっちを購入しようか迷っている人は、少し前にレビューした「SONY WH-1000XM5」もすごく良い選択肢になってくれると思うので、こちらの記事もぜひ参考にどうぞ。

