型落ちでも得られる体験と満足度は本物。
2022年5月27日に発売されたSONYの新型ノイキャンヘッドフォン「WH-1000XM5」ですが、僕も発売日に購入。価格は49,500円と高いし、折りたためなくなったデザインも少し気になるし...悩んだ結果購入したのですが、もうめっちゃ良くて。
音質とノイキャンが良すぎたので、WH-1000XM5のレビューをお届けです。
モダンでスタイリッシュなデザインは所有欲も満たしてくれますし、無段階調整になったヘッドバンドと快適になった装着感もGood。操作のレスポンスも良くなっていますが、一方で、やっぱり気になるのは"ケースのでかさ"かも。
※2025/6/17 追記, 最新の情報に合わせて加筆・修正しました。WH-1000XM6の登場で型落ちになり、新品でも4万円以下で購入できるほか、中古だと状態が良いもので2万円後半で購入できるようになってきたので、新型モデルにこだわらない&中古でも良いよって人はガチで良い選択肢になるヘッドホン。

WH-1000XM5をレビュー。型落ちでも明瞭で豊かな音質とノイキャン性能は本物

ソニーのフラグシップノイズキャンセリングヘッドフォン「SONY WH-1000XM5」のレビューの前に、まずはスペックや機能、特徴についてダダっとおさらいです。
WH-1000XM5について知っておきたいことは以下の通り。
- カーボン複合材を使用した30mmドライバーユニット
- ソニー独自の高音質ノイキャンプロセッサー"QN1"に統合プロセッサー"V1"が組み合わされたことで精度が向上したノイキャン。
- AIアルゴリズムで精度が向上した通話時のノイズリダクション(風ノイズもさらに低減)
- ボタンの名称がNC/AMBボタンに変更(操作方法に変わりなし)
- 最大2台までのマルチポイント接続対応
- ANCオフ時40時間、ANCオン時30時間の音楽再生時間、3分の充電で3時間使用できる急速充電(USB PD)
- Bluetooth 5.2
- コーデックはSBS/AAC/LDAC
- 360° Reality AudioやDSEE Extreme、Speek to Chatは引き続き対応
- NFCは非搭載
WH-1000XM5の大きな特徴は、カーボンファイバーコンポジット素材を採用した30mmドライバーユニットを搭載したこと。ソニー独自の高音質ノイキャンプロセッサー「QN1」に統合プロセッサー「V1」が組み合わされたことでノイキャンの精度がさらに向上したってところですね。
プロセッサーの統合により、WH-1000XM5は中高音域の騒音に対してのキャンセル性能がさらに向上しており、ドライバーユニットは40mmから30mmに小型化した一方で、WHシリーズらしい音質はそのままに、Speek to ChatやDSEE Extreme、クイックアテンションモード、最大2台までのマルチポイント接続などの機能は前モデルから踏襲しています。








SONY WH-1000XM5のデザインは前モデルWH-1000XM4から大きく変化していて、WHシリーズらしいデザインは引き継ぎつつも、全体的にシュッとした感じ。ヘッドバンドも細くなっており、丸いステムで繋がったデザインに変更されました。
※左側ハウジングには3.5mmオーディオジャック、電源ボタン、NC/AMBボタン。右側ハウジングにはUSB-C端子のみを搭載。
スライダーは無段階調整になったほか、ヘッドバンドとイヤーパッドにはソフトフィットレザーが採用。手触りもすごく柔らかいのですが、デザイン面の大きな変更が折りたためなくなり、装着時は自分側にハウジングが来るスタイルになったところかなと。
SONY WH-1000XM5はヘッドバンドの”無段階スライダー”がめっちゃ良い感じで。ものすごくスムーズに動作してくれます。
WH-1000XM5には左右に4つずつマイクが搭載されているというのも大きなトピックの1つです。これらのマイクのおかげでWH-1000XM5は収音精度が飛躍的に向上しており、ノイキャン性能の向上にも貢献しています。
SONY WH-1000XM5のスペック | |
---|---|
重さ | 250g |
ドライバーユニット | 密閉,ダイナミック型 30mm カーボンファイバー素材 ネオジウムマグネット |
再生周波数帯域 | 4 Hz - 40,000 Hz |
インピーダンス(1kHz) | 48 Ω(有線接続時、POWER ON時) 16 Ω(有線接続時、POWER OFF時) |
連続音楽再生 | 最大30時間(ANC:ON) 最大40時間(ANC:OFF) |
充電時間 | フル充電まで3.5時間 3分で3時間再生の急速充電(USB PD) |
通信 | Bluetooth 5.2 最大通信距離:10m 2.4GHz帯 |
対応Bluetooth プロファイル | A2DP, AVRCP, HFP, HSP |
対応コーデック | SBC, AAC, LDAC |
付属品 | ヘッドフォン本体 3.5mmイヤフォンケーブル USB A to Cケーブル 保証書 スタートガイド |
その他 | コード長さ:1.2m、USB-C 最大2台のマルチポイント接続 Spotify Tap、装着検出 |
専用設計の30mmドライバーユニット

WH-1000XM5のドライバーユニットは40mm → 30mmに変更されていて、これも音質にしっかり貢献。
軽量で硬めのドームを採用し、ドーム部にカーボンファイバー素材を採用したことで軽量・高剛性なドーム部により高域感度が向上し、前モデルと比べて繊細で明瞭な音質を提供してくれるそうです。
柔らかいエッジ部により低音域の感度も高めているとのことなので、WH-1000XM4とはまた違った音質の傾向になっているかもしれません。
ヘッドバンドが細くなったことで装着感が良くなったのは大きなメリット
それともうひとつ。WH-1000XM5はヘッドバンドが細くなりましたがとても柔軟でめっちゃ柔らかくて。グイングインしても全く問題ありませんでした。
開封してすぐは「ステム細いけど大丈夫?」と思ったけど、耐久性も剛性も問題ありませんでした。
前モデルと比べて構造は大きく変化しましたが、細くなったヘッドバンドは明らかに装着感の向上に貢献しており、付けやすくて装着感も良い...というのはWH-1000XM5のメリットです。(折りたためなくなったのは微妙だけど)
ハウジングのタッチパネルで操作は楽ちん

SONY WH-1000XM5の右側ハウジングにはタッチセンサーコントロールパネルが搭載されていて、タップで再生/停止、スワイプ操作で曲送りや音量調整ができます。
Spotifyを一発起動できる「QuickAccess」が追加されたくらいで、基本操作はWH-1000XM4と全く同じ。操作方法については以下の通りなので参考にどうぞ。
WH-1000XM5の操作方法 | |
---|---|
再生/停止/応答 | 2回タップ |
次の曲へ | 前にスワイプ |
スワイプ前の曲へ | 後ろにスワイプ |
ボリュームアップ | 上にスワイプ |
ボリュームダウン | 下にスワイプ |
ノイキャン/外音取り込み切り替え | NC/AMBボタン |
ペアリング | 電源ボタン長押し |
音声アシスタント起動/着信拒否 | 長押し |
Quick Access(Spotify起動) | NC/AMBボタン2回押しまたは3回押し ※アプリで設定可能 |
WH-1000XM4と比べ、WH-1000XM5はレスポンスが良くなっている印象で、特に、ノイキャンと外音取り込みの切り替えは早くなっているかなと。
自分の声に反応して音楽を停止し、周囲の音を聴きとりやすくする「Speek to Chat」や、右ハウジングを手で覆うことで周囲の音を聴きとりやすくする「クイックアテンションモード」にも対応しているので、とっさに会話したい時などはとても便利。
デメリットはケースは持ち運びにくいこと

僕がWH-1000XM5で唯一気になったのがこれ。
WH-1000XM5は折りたためないデザインに変更されましたが、それはまぁ慣れでどうにかなるとして、ケースが思ったいたよりもデカい。...めっちゃデカい。


ケース自体はとてもよくできていて、質感も良好。WH-1000XM5をしっかり保護してくれますし、内部も丁寧に作りこまれているのですが、質感や収納性が高くても持ち運びにくいので、良いところを”大きさ”がぶっ壊してます。

パッと収納しようとするとヘッドフォンを保護するためのヒダ?的な部分がひっかかるし......。(丁寧に入れれば問題ないですが億劫になる)

WH-1000XM5のケースがどれくらい大きいのかというと、でかくてかさばるヘッドフォンの筆頭「AirPods Max」を軽く超えちゃうレベル。

僕のお気に入りのカメラバッグにも全然収まらないので、WH-1000XM5は基本持ち運ぶことはなくなりました。そうなると...使用頻度も減る。WH-1000XM4と比べてもケースは大幅にサイズアップしており、これはガチで惜しい。


WH-1000XM5のケースは「本体が収納されていない時は畳んで小さくできる」って言われていたので期待してましたが、これもちょこっと薄くなるくらい。劇的にコンパクトになるわけではないので、持ち運ぶ頻度が減ることに変わりありませんでした。...ほんとに惜しい。
ケースにはケーブルを収納可能

僕はしばらく気づかなかった(有線ケーブルが付属しないと勘違いしてたくらい)のですが、WH-1000XM5はケースの中心部が収納スペースになっており、USB-Cケーブルと3.5mmオーディオケーブルはここに収納可能です。
電池持ちは最大40時間、3分で3時間再生できる急速充電にも対応
前モデルのWH-1000XM4にはなくて、WH-1000XM5が対応した素敵な機能がUSB PDによる3分で3時間再生できる急速充電。
3分の充電で3時間も使用できるようになったのは言うまでもなく便利で、朝の忙しい時間に充電ない!って時も大丈夫です。
WH-1000XM5の電池持ち | |
---|---|
ANC:オン | 30時間 |
ANC:オフ | 40時間 |
急速充電 | 10分で5時間 3分で3時間(USB PD) |
WH-1000XM5の電池持ちについては上記の通り。ANC:ON時の再生時間はWH-1000XM4から変化無しですが、ANC:OFF時の再生時間は2時間伸びました。電池持ちは十分。

WH-1000XM5の音質は明瞭で豊か。低音域も深く響く

ここからはWH-1000XM5の音質についてのレビューをお届けしていこうかと思いますが、僕が感じたWH-1000XM5の音質を簡単にまとめると以下の通り。
- ノイキャン性能が格段に向上し、音楽への没入感が高くなった。
- ボーカルが明瞭になり、空間的な広がりもより感じられるようになった。
- 比較的フラットな傾向の音質で、高音域の音がよりすっきりした印象。
- ギターの音やピアノの音、ボーカルの声もクリア。低音域の音は深く、豊かに響く。
- 対応コーデックはSBC/AAC/LDAC。
前モデルとなる「WH-1000XM4」と比べて全体的に"明瞭で豊かな音"になっていますが、ドライバーユニットが40mm → 30mmと小型化したため、やはり迫力というか、ダイナミックさは若干、ほんの少しだけ控えめになっている印象です。
視聴するのはいつものレビュープレイリスト。SONY WH-1000XM5の音質を試していきます。※デバイスはGalaxy Z Fold3 5Gでコーデックは"LDAC"。DSEE Extreme:ONです。
ヘッドフォンやイヤフォンをレビュー時は、宇多田ヒカルのtravelingとビリーアイリッシュのbad guyは絶対に視聴していますが、travelingはギターのカッティングや後ろで流れるシンセ、コーラスが明確に分離してリアルに感じられますし、bad guyは唸るようなベースの音がくっきりはっきり。それでいてひとつひとつの音をしっかり感じ取ることもできます。
スパークス - This Town Ain't Big Enough for Both of Usでは、ヘビーなディストーションが効いたギターの音がつぶれることなく再現されているほか、迫力のあるベースラインも豊かで明瞭。
前モデルと比べて迫力が控えめになったとはいえ、それはあくまでもWH-1000XM4と比べてというだけで、ダディーヤンキーのLimboのようなラテン・アーバンミュージックも低音をズンズン頭の中で響かせてくれるので、気持ちよく聴くことができるかなと。
どの楽曲でも共通しているのは、しっかりボーカルが前に出ていてひとつひとつの音がお互いを邪魔せず分離しているということ。WH-1000XM5は音の解像感も高い。
前モデルWH-1000XM4とWH-1000XM5の性能や機能の違い、音質の比較については以下の記事も参考にどうぞ。

WH-1000XM5の周波数特性を計測してみる
せっかくなので、ソニーのフラグシップノイキャンヘッドフォン「SONY WH-1000XM5」の音質を客観的に知るために、周波数特性も計測していきます。
「どんな傾向の音質なのか?」を"見る"ための計測で、周波数特性の測定は環境や機器にも左右されるため、あくまでも客観的なデータの指標としてどうぞ。※周波数測定の計測環境についてはこちら。
オーディオサンプルは60秒のスイープ波(96000Hz/24bit)。スイープする周波数は20Hz~40000Hzにしています。

SONY WH-1000XM5の周波数特性はこんな感じ。中高音域で落ち込みがありますが、比較的フラット。低音から高音域に向かって全体的に明瞭な音質です。
聴き疲れのしない、誰でも心地よく聴ける音。
周波数特性グラフの見方としては、ざっくり200Hz以下が低音域、200Hz~700Hzが中低音域、700Hz~3KHzが中高音域、3KHz~7KHzが高音域、7KHz以上が超高音域です。200Hz以下が強すぎるとほかの音を邪魔してしまうし、弱すぎるとベースやドラムの音が軽く感じてしまいます。700Hz~3KHzの帯域が適度に目立っていると多くの人が心地よく感じられるかも。
対応コーデック
WH-1000XM5の対応コーデックはSBC/AAC/LDACで従来から変更無し。WH-1000XM4でナーフされたaptX/aptX HDは引き続き非対応です。
※LDACはAndroidのみ対応。2台同時接続機能:ON時はLDACがオフになります。対応BluetoothプロファイルはA2DP、AVRCP、HFP、HSP。
圧倒的静寂が広がるノイキャン性能。外音取り込みもめっちゃ進化

WHシリーズのヘッドフォンといったら、外せないのが「アクティブノイズキャンセリング(ANC)」ですが、これはもう...すごい。圧倒的静寂。ひたすらにレベルアップしています。
ヘッドホンの外側と内側に配置した左右4つずつのセンサー(マイク)を使用することにより、収音精度が飛躍的に向上。また比較的高い周波数帯域の日常生活でのノイズキャンセル性能の向上に伴い、街中でより静寂を感じられるようになりました。
SONY公式HP
空調の音はもちろん、PCの動作音や水槽の流れる水の音なんかも全然聞こえないようになりました。
WH-1000XM5のノイキャン性能を試すべく、踏切の近くで音楽を聴かずに立ってみましたが、30mも離れればめっちゃ遠くで鳴ってるなぁくらいまで雑音をシャットアウトしてくれます。

次に、WH-1000XM5の「外音取り込み(アンビエントサウンド)モード」についてですが、こちらもWH-1000XM4と比べると大幅に進化していまして。
例えるなら、WH-1000XM4の外音取り込みは数枚のフィルターを隔てているかのように曇って聞こえていましたが、WH-1000XM5はフィルターがものすごく薄くなったイメージ。
外音取り込みモードONで音楽を聴きながら歩いていても、車や人が来る気配がばっちり分かります。会話も自然。AirPods Maxの外音取り込みも自然な聴こえ方で驚きましたが、WH-1000XM5もタメを張れるレベルになりました。
柔らかくて圧迫感の少ない装着感

お次はWH-1000XM5の装着感についてですが、こちらも前モデルから大幅にブラッシュアップされていて、新たに採用された"ソフトフィットレザー"が柔らかくてめっちゃ快適。
イヤーパッドはふわっふわで、高い遮音性があるのに装着感はびっくりするほど軽い。合皮特有のモタっとへばりつく感じもかなり軽減されてます。
ヘッドバンドも同じソフトフィットレザーが採用されており、こちらはイヤーパッドよりも少しだけ固めで反発力あり。
装着感はWH-1000XM4よりも確実に進化していました。
ちなみに、僕はヘッドフォンを長時間装着していると頭頂部から痛みが来るタイプなのですが、いくらかマシになったとはいえ...WH-1000XM5でも長時間付けてると少し痛みが出てきます。AirPods Maxのほうが頭頂部の痛みは少ないかも。
WH-1000XM5のレビューまとめ!素敵な音質と装着感。最高クラスのノイキャン。型落ちで安く買えるヘッドホン

語りたいことがありすぎて詰め込んじゃったので、少し長くなってしまいましたが、最後に「SONY WH-1000XM5」の僕のレビューと評価をまとめておきます。

WH-1000XM5 レビュー&評価
最高クラスの音質とノイキャン。
メリット
- 最高峰のノイズキャンセリング
- 自然に聞ける外音取り込みモード
- 明瞭でフィーリングまで感じられる音質
- モダンでクールなデザイン
- 軽くて快適な装着感
- 型落ちになり、新品&中古の価格が安くなってきた
デメリット
- 折りたためなくなって取り回しが悪い
- ケースがでかい
音質 | |
機能 | |
装着感 | |
デザイン | |
コスパ | |
総合評価 |
※レビューの評価基準についてはこちら。
ケースがでかすぎて取り回しが悪いってところ以外は概ね満足のヘッドホンで、音質とノイズキャンセリング、装着感はかなり良い感じ。
AirPods Maxが最強かもって思ってたけど、2万円以上安いWH-1000XM5もタメ張れるくらいに素敵な音質とノイズキャンセリング。フィーリングまで感じられる音質も素敵ですし、装着感もGood。外音取り込みモードも改善されたほか、ノイキャンは誰もが満足できるさすがの性能です。

何度も言っていますが、気になる点があるとすれば、ケースの大きさと取り回しの悪さくらい。持ち運ぶには少々場所を取りすぎるので、これは明確なデメリットですね。
とはいえ、2025年現在はWH-1000XM6が発売されたことで型落ちになり、価格はかなり落ち着いてきていまして。新品でも4万円以下。中古だと状態が良いもので2万円後半で購入できるようになってきたので、中古でも良いよって人は良い選択肢になるヘッドホンかもしれません。
中古3万円以内で良い状態のものが購入できたら...あまりにもお買い得過ぎる。